1989 Fiscal Year Annual Research Report
運動プログラム形成に果たす大脳運動前野と補足運動野の機能
Project/Area Number |
63570047
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
蔵田 潔 東北大学, 医学部, 助教授 (30170070)
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Keywords | 運動プログラム / 霊長類 / 大脳皮質 / 運動前野 / 補足運動野 / 予期的準備活動 / HRP / WGA-HRP |
Research Abstract |
前年度に得られた予期的準備活動を示すニュ-ロンの分布を詳細に検討したところ、運動前野についてはその中でも特に上中心前溝の外側部に多く存在することが明らかになった。これは、運動遂行中に活動の変化を示すニュ-ロンが運動前野における弓状溝後壁と上中心前溝の両方にそれぞれ多く存在していることと対照をなしている。すなわち、上中心前溝の周辺部は運動プログラムを形成するのに極めて重要な役割を果たしていることが示唆された。そこで当該年度においては、運動前野におけるこれらの領域が中枢神経の他の領域のどこから入力を受け、どこに出力をしているかを解剖がくてきに検索することに重点を置いた。この目的を達成するため、4頭のニホンザルについて一次運動野の上肢領域に逆行性標識物質であるHRPを注入し、運動前野と補足運動野から一次運動野への出力様式を、また2頭のニホンザルについて上中心前溝の外側部に逆行性と同時に順行性標識物質でもあるWGA-HRPを注入し、さらに一頭のニホンザルにおけて弓状溝後壁の運動前野にWGA-HRPを注入して解剖学的な結合様式を検索した。その結果、運動前野の弓状溝後壁と上中心前溝の外側部、それに補足運動野の上肢領域のいずれもが一次運動野の上肢領域に出力していることが明らかになった。さらにこれらの領域すべてが脊髄側索を下降する皮質脊髄路細胞を含んでいることがあきらかになった。またこれらの領域の入力として弓状溝後の皮質は壁頭頂葉の5野あるいは7野からの投射を受けているのに対して、上中心前溝周辺皮質は5野からのみ入力を受けている。まれらの領域に共通して、前頭前野からの入力は受けていない。また、最近運動領野のひとつとみなされてきている帯状回からの入力をこられの領域のいずれもが受けているのと同時に、これらの領域が相互に結合しており、運動領野として密接に関連していることが示唆された。
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[Publications] 蔵田潔: "随意運動の発現と運動企画" 感覚総合研究. 6. 91-107 (1989)
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[Publications] Tanji,J.: "Changing concepts of motor areas of the cerebral cortex." Brain and Development. 11. 374-377 (1989)
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[Publications] Kurata,K.: "Neural programming for forthcoming movement in the premotor cortex of monkeys" Jpn.J.Physiol.39 Suppl.S138 (1989)
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[Publications] Kurata,K.: "Parcellation of the premotor cortex of macaque monkeys.I.Distribution of neurons with set-related activity." J.Neurophysiol.
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[Publications] Kurata,K.: "Parcellation of the premotor cortex of macaque monkeys.II.Corticocortical input-output organization." J.Neurophysiol.
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[Publications] Kurata,K.: "Neural Programming" M.Ito(ed.), 254 (1989)