1988 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚細胞混合培養系における神経誘導因子の作用機序の解析
Project/Area Number |
63570050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 治正 東京大学, 医学部, 助教授 (40134283)
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Keywords | アフリカツメガエル / 初期胚細胞 / in vitro培養系 / 神経誘導因子 / 単クローン抗体 |
Research Abstract |
脊椎動物神経系発生の初期決定過程は、動物発生初期における特異的細胞間作用による。即ち嚢胚期、未決定外胚葉の中で、中軸中胚葉(将来の脊索、体節部域)に裏打ちされ、その誘導作用を受けた部分のみから将来の神経組織が形成される。本研究では、アフリカツメガエル初期嚢胚細胞のin vitro培養系を用いて神経誘導因子の作用機序を検討した。方法としては先づ初期嚢胚から各胚部域(未決定外胚葉域(以下Ect)、或は予定中軸中胚葉域(以下DMZ))を10〜20片切り出し、Ca、Mg-free培養液中で細胞を海離させ、部域別細胞プールを調製した。各プールから細胞を一定数ずつとってマイクロ培養ウエルに分注(部域間混合、或は単独で)し、一定時間培養した後、組織特異的単クローン抗体(抗表皮E3、或は抗神経樹状突起N1)を用いた間接蛍光抗体法によりウエル中で分化した細胞を同定した。その結果、Ect細胞のみの培養では表皮細胞が分化するが、これとDMZ細胞とを混合培養すると後者の数に応じて表皮細胞の分化は抑制され神経細胞が誘導される事は既に報告した通りであるが、この時培養液の容量をかえても(6〜24μl)神経分化の程度に差の無い事が見出された。さらに神経分化の見られた混合培養系の条件付け培養液をEct細胞の培養系に加えても、神経細胞の分化が見られなかった事から、神経誘導作用において拡散性因子の寄与は小さい事が示唆された。一方、Ect細胞とDMZ細胞を遠心操作により密着させると神経細胞が高率に分化するのに対し、ウエル中に分散されたままでは分化の見られない事から両部域細胞間の近接作用の役割が大きいと考えられた。さらに、DMZ細胞をCa、Mg-free液でよく洗い込むと、その神経誘導作用が著明に下る事から、DMZ細胞の表面に2価イオン依存的に結合した物質が誘導作用に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mitani,S.: Development. 105. 53-59 (1989)
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[Publications] Okamoto,H.: J.Physiol.Soc.Japan. 50. 378 (1988)
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[Publications] Mitani,S.: Neuroscience. 25. 291-305 (1988)