1989 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋cut fiberを用いたCa-transient下降相の解析
Project/Area Number |
63570069
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
松村 幹郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70052975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 和典 川崎医科大学, 医学部, 助手 (50069077)
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Keywords | 興奮・収縮連関 / Ca-transient / 骨格筋cut fiber / arsenazoIII / antipyrylazoIII |
Research Abstract |
骨格筋cut fiberを用い、単一ワセリン隔絶法を適用し同時に細胞内微小電極から刺激電流を通じて、電気刺激にともなう細胞内Caイオンの動向を調べた。Caイオン指示薬にはantipyrylazoIII(APIII)を用いた。これとは別に、もう一つの指示薬であるarsenazoIII(AZIII)を細胞内微小電極から電気泳動的に注入し、また、APIIIを高圧を加えて注入してCa-transientを記録測定した。cut fiberを用いる場合の困難は、隔絶法の適用と細胞内灌流溶液の組成とである。EGTAの量が少ない時はCaがキレ-トされず筋線維に傷害を与える結果を招き、多い時はCa指示薬よりも強力に結合する結果Ca信号が不正確になってしまう。現在、以下の実験結果を得ている段階にある。 (1)APIIIを注入して得られるCa信号は、刺激後1.5msecの潜伏時間の後に速やかに上昇し3.5msecで最高値に達した後約20msecの時定数を以て指数関数的に下降する。この下降相の経過はAZIIIを使って得られたCa信号よりも速やかであって、刺激後放出されたCaは速やかに結合されてしまうことを示している。 (2)50/秒の頻度で10-20回の連続刺激を与える時、AZIIIを用いて得られるCa信号の下降相は刺激の回数を増すにしたがって顕著に延長していくが、APIIIを用いて得られるCa信号の下降相は刺激の回数に関係しない。Ca結合蛋白としてパルバルブミンの意義が論じられているが、Ca信号の下降相が刺激条件によって変わらないことは、細胞内Caイオン濃度の調節は筋小胞体のCa結合によってなされており、パルバルブミンの意義は小さいと考えられる。 (3)CO_2を通気して細胞内pHを低下させるとき、AZIIIによるCa信号の振幅が減少する。さらにこの条件で2-5秒に1回の頻度で刺激するとCa信号の下降相が延長していく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Toyota,H & Matsumura,M.: "Relationship between contraction strength and stimulation frequency in cultured chick embryonic heart cells" Japanese Journal physiology. 39. 87-100 (1989)
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[Publications] Toyota,H.& Matsumura,M.: "Differentiation of inotropic action from chronotropic action of sympathetic agents in cultured cells of chick embryonic ventricle" Japanese Journal physiology. 39. 101-114 (1989)
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[Publications] Matsumura,M.& Ochi,K.: "Intracellularcalcium movement in xenopus skeletal musclemeasured by arsenazo III" Japanese Journal physiology. 39. S193 (1989)
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[Publications] 松村幹郎: "生理学実習書" 南江堂, (1990)
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[Publications] 松村幹郎: "医学生のための基礎医学問題祥解" 医学教育出版社, (1990)