1989 Fiscal Year Annual Research Report
単一Naチャネル電流の人工脂質膜法とパッチクランプ法による異種興奮性細胞間の比較
Project/Area Number |
63570071
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
上原 明 福岡大学, 医学部, 助手 (60140745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今永 一成 福岡大学, 医学部, 教授 (40078613)
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Keywords | 人工脂質膜法 / Naチャネル / 興奮性細胞 |
Research Abstract |
本年度は、イヌの骨格筋細胞、心筋細胞、神経細胞の3種の興奮性細胞について、これまでの人工脂質膜法による各単一Naチャネル電流解析結果を、パッチクランプ法を用いて再検討することに力点を置いた。パッチクランプの巨視電流解析のみならず単一チャネル電流解析でも、従来のデ-タを再確認することが出来た。特に、NaチャネルBlockerのフグ毒TTX、STX、その誘導体群の3種のNaチャネル全てに対する作用機序を調べた結果、Kd、Kon、Koff等の速度反応論的定数は、人工脂質膜法の場合と同様の値を示した。更に、人工脂質膜法を用いて、各種興奮性細胞のNaチャネルのVeratridineによる修飾機構を詳細に検討した。Veratridineにより活性化されたNaチャネル電流のslope conductanceは約10pSで、不活性化過程の消失は不完全であった。開確率は調べた膜電位の範囲では強い電位依存性を示した。更に、チャネル活性は高濃度のTTXでも完全に阻害されにくい特徴を示した。一方、他のNaチャネル修飾薬物の動物性アルカロイドBatrachotoxinにより活性化されたNaチャネル電流の場合、約20pSのslope conductance、ほぼ完全な不活性化の消失、弱い膜電位依存性の開確率などの特徴を示した。更にチャネル活性は充分な阻害濃度で殆んど抑制された。以上の単一Naチャネル電流のVaratridineによる活性化の程度はBatrachotoxinのそれに比べてかなり弱いという性質は、各興奮性細胞に共通していた。 これまでのNaチャネル修飾薬を通じて検討した、異種興奮性細胞間の興奮性にかんする異同の分子論的メカニズムは、比較的詳細に記述できたように思う。
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