1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570073
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
粟生 修司 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40150908)
|
Keywords | 性行動 / サル / 内側視索前野 / 視床下部 / 中心灰白質 / 被蓋野 / 視床下部腹内側核 |
Research Abstract |
これまでのアカゲザルやニホンザルを用いた刺激実験やニューロン活動の記録実験で、雄および雌ともに内側視索前野はパートナーに対する性的覚醒・欲求による性行動の発現に関与し、雄の視床下部背内側核および雌の腹内側核は個々の交尾行動の実行に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。本年度は、これら視床下部からの出力が下位脳幹のどの部位に送られているか、またそこでどのような調節がおこなわれているか検討した。 (1)視床下部から豊富な線維連絡を受けていることがラットなどで知られている中脳中心灰白質および被蓋野を電気的に刺激し(0.2ミリ秒、50Hz、2.5秒、125パルス)、性行動に及ぼす効果を検討した。雄ザルでは中脳の外側被蓋野の広い領域の刺激で雌の腰部に手を延ばすタッチングを誘発した。雌がプレゼンティング(雄に対し尻を持ち上げる姿勢)で応じたときはさらに雌に背乗りするマウンティングを誘発した。中心灰白質の刺激は効果がなかった。雌ザルでは中心灰白質およびそれに隣接する被蓋野の刺激でプレゼンティングを誘発した。雄の反応は視床下部刺激に対する反応と同様であったが、雌ザルの反応は視床下部刺激と同様のものに加えて、長い潜時で持続の長い反応も新たに見いだされた。長潜時、長持続のプレゼンティングは中心灰白質の腹側および被蓋野の腹側で多く誘発された。 (2)雌ザルの視床下部内側部にインゲンマメ由来白血球凝集素(PHAL)を微量注射し順行性の線維投射を調べた。神経終末が中心灰白質およびそこから腹外側方向へのびる被蓋野領域に見いだされた。 (3)ケタミン麻酔下で行動誘発実験と同じ条件の視床下部電気刺激を行い、血液中のオキシトシンやバゾプレッシンを測定した。刺激では有意の変化を示さなかった。また脳脊髄液を、あらかじめ第III脳室内に留置してあるカニューレを通して採取し、オキシトシン、バゾプレッシン、エンケファリンの基礎値を測定した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Aou,S.;Oomura,Y.;Yoshimatsu,H.: Brain Res.455. 65-71 (1988)
-
[Publications] Koyama,Y.;Fujita,I.;Aou,S.;Oomura,Y.: Brain Res.446. 199-203 (1988)
-
[Publications] Oomura,Y.;Aou,S.;Koyama,Y.;Fujita,I.;Yoshimatsu,H.: Brain Res.Bull.20. 863-870 (1988)
-
[Publications] Aou,S.;Oomura,Y.;Woody,C.D.,;Nishino,H.: Brain Res.439. 31-38 (1988)
-
[Publications] Nishino,H.;Oomura,Y.;Karadi,Z.;Aou,S.;Lenard,L.,et al: Brain Res.Bull.20. 839-845 (1988)
-
[Publications] 木村裕、粟生修司: こころの科学. 25. (1989)