1988 Fiscal Year Annual Research Report
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63570076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 さと 北海道大学, 医学部, 助手 (20142713)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / 視交叉上核外概日振動体 / メトアンフェタミン / カテコールアミン / 食餌性振動 / 行動量 |
Research Abstract |
本研究は、従来哺乳動物で唯一の概日振動体(生物時計)の存在部位とされていた視床下部視交叉上核(SCN)以外にも概日周期を持つリズムを生体の多くの機能に発現させるSCN外概日振動体の存在の発見に基づき、その局在と振動機構の解明を目的として行われた。本年度はSCNの電気的破壊後、概日リズムの完全に消失したラットを用い以下の実験を行った。1.SCN外概日振動体の局在の検索:この概日振動は強力なカテコールアミン(CA)放出薬であるメトアンフェタミン投与で機能が発現されるため、CA作動性神経系の選択的破壊の影響を調べた。しかし、SCN破壊ラットの側脳室に慢性的に設置したカニューレからの6ハイドロキシドパミンの投与は、メトアンフェタミンにより発現するリズムの周期や位相に変化を起こさなかった。2.振動機構の解明:SCN非依存性リズムを発現させるメトアンフェタミンは、神経末端でのCAの放出促進やモノアミンオキシダーゼ活性阻害を行い、強い覚醒作用と食欲抑制作用をもつ。そこで、類似の化学構造や薬理作用を持つ他の薬物によるリズム発現の有無を調べた。フェネチルアミン、メチルエフェドリン、イミプラミン、カフェイン、MAO阻害剤のトラニルサイプロミンやクロルジリン、ドパミン作動薬のアポモルフィン等ではリズムの発現はなかったが、メチルフェニデイトの投与で行動量の増加に伴い一定周期のリズムが発現され、マジンドールでも行動量増加とリズム形成がみられた。以上の結果、行動量の亢進がリズム発現に重要な要素であることが示唆された。3.食餌性振動との相関:周期的制限給餌によって発現する食餌性振動もSCNに依存しない。そこで、2種のSCN非依存性振動の相関を検索する目的で、メトアンフェタミン投与で明瞭なリズムを示しているラットに周期的制限給餌を行ったところ、メトアンフェタミン依存性行動リズムは給餌周期に同調した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sato,Honma: Physiology & Behavior. 44. 247-255 (1988)
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[Publications] Sato,Honma: Psychopharmacology. 96(Suppl). 96 (1988)
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[Publications] Sato,Honma: J.Physiol.Soc.Jap.50. 621 (1988)
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[Publications] Ken-ichi,Honma: Experiantia. 44. 981-983 (1988)
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[Publications] Sato,Honma: Neurosci.Res.(1989)
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[Publications] Sato,Honma: Proceedings of 3rd Sapporo Symposium on Biological Rhythms.(1989)
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[Publications] 本間研一: "生物リズムの研究" 北大図書刊行会, 1-320 (1989)