1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570078
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
永井 正則 山梨医科大学, 医学部, 講師 (40110027)
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Keywords | 低温 / 筋収縮 / 消化管平滑筋 / アセチルコリン / セロトニン |
Research Abstract |
ラットの抽出回腸標本のアセチルコリンによる収縮が、正常体温より低い温度域で増強されることを従来報告した。本年度は、まずこの現象をアセチルコリンに対する容量-反応曲線を用いて検討した。正常体温(37±1.0℃)と収縮反応増強効果が最大となる30±1.0℃の液温で容量-反応曲線を作成した。その結果、従来同様摘出回腸標本のアセチルコリン収縮が、低温で増強されることを確認した。容量-反応曲線の型から、低温下では高濃度のアセチルコリン(10^<-6>、10^<-5>、10^<-4>)投与による収縮高が特に増大することがわかった。すなわち、低温ではアセチルコリンに対する最大収縮反応が大きくなるという結果を得た。アセチルコリンはムスカリン性受容体と結合し、イノシトール-3リン酸を増加させることで回腸標本の収縮を起こすと考えられる。低温が、イノシトール-3リン酸とは別の細胞内のセカンドメッセージャーを利用する収縮にどう影響するかをセロトニン収縮を用いて検討した。この場合、ラットの回腸標本に対するセロトニンの効果は一定しないので、モルモット結腸紐の摘出標本を用いた。その結果、セロトニン収縮も低温により増強されること、容量-反応曲線もアセチルコリンと同様に低温で最大反応が増大する型を示すことがわかった。このことから、サイクリックAMPをセカンドメッセンジャーとする平滑筋収縮も低温により反応が増大すると考えられる。次に、各々の神経伝達物質の阻害剤を用いて、阻害曲線への温度効果を調べるのが当初の計画であった。このためには、温度変化によっても伝達物質と結合できる受容体の数が不変であるという仮定が成立することが必須である。しかし、現在までこの仮定は証明されていない。従って、受容体を介さずにセカンドメッセンジャーを賦活して起こる収縮への温度効果を先に検討することにした。現在これを、摘出標本、単離細胞標本の両面から検討中である。
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[Publications] NAGAI,M: JAPANESE JOURNAL OF PHYSIOLOGY. 37. 545-549 (1987)
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[Publications] NAGAI,M.: ELSEVIER, ELSEVIER, (1989)