1988 Fiscal Year Annual Research Report
運動によるふるえの抑制に関与する介在ニューロンの形態と機能
Project/Area Number |
63570084
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
野本 茂樹 (財)東京都老人総合研究所, 生理学部, 研究員 (70125235)
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Keywords | 運動 / ふるえ / 一次求心性線維 / 運動ニューロン / WGA-HRP / transneuronal transport / Nucleus reticularis parvocellularis / 鳥類 |
Research Abstract |
長腓骨筋の1次求心性線維終末と胸筋の運動核との間に存在する介在ニューロンを組織学的に同定するためにHRPを用いて実験を開始したが、HRPを脊髄のある限られた部位に注入することが技術的に非常に困難であることが判明し、目的とする介在ニューロンのみを染め出すことが出来なかった。そこでHarrison(1984)やJankowska(1985)が発表したWGA-HRPのtransneuronal transportと呼ばれる性質を利用して胸筋の運動核に終末している介在ニューロンを染め出す方法を試みることにした。ただし、本実験ではJankowskaらの方法とは若干異なり、WGA-HRPの取り込みを促進するために介在ニューロンの活動性を高めるために行う電気刺激は特に行わなかった。 その結果、目的の介在ニューロンと考えられる神経細胞が橋網様対外側部のNucleus reticularis parvocellularis(小細胞網様体)に見つかった。Jankowskaらの方法は再現性があまり良くなく評価は今一つではあるが、今回は見つかった橋網様体細胞は以下の二つの理由で胸筋の運動核に終末していると考えられる。Birzis & Hemingway(1956、1957)によると、ふるえの中枢内遠心路は後視床部から赤核を通り、橋・延髄網様体を経由して脊髄へ下降していると報告している。従って本実験で見つかった橋網様体細胞は彼らの報告とよく符号している。またこの橋網様体細胞は脊髄下行路の一つである網様体脊髄路の起始細胞の一つに属している。網様体脊髄路細胞は頚や体幹筋の運動核に強く投射していることが分かっているので、本実験で見つかった橋網様体細胞は胸筋の運動核に終末していると考えられる。この点を来年度以降、電気生理学的手法を用いて確かめていきたい。なお本実験では脊髄内に介在ニューロンらしいものが見つからなかったが、今後Jankowskaらの方法で再度実験を行っていきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 野本茂樹: 日本生気象学会雑誌. 25(増刊号). 55 (1988)
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[Publications] Nomoto,S.: J.Physiol.Soc.Japan. (1989)