1989 Fiscal Year Annual Research Report
運動によるふるえの抑制に関与する介在ニュ-ロンの形態と機能
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63570084
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
野本 茂樹 (財)東京都老人総合研究所, 生理学部, 研究員 (70125235)
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Keywords | 運動 / ふるえ / 一次求心性線維 / 誘発電位 / 背髄 / 鳥類 / Nucleus reticularis parvocellularis |
Research Abstract |
昨年度行った実験で橋網様体外側部のN.reticularis parvocellularis(Rpc)にあるニュ-ロンは胸筋運動ニュ-ロンに終末していることが明らかになった。今年度は、Rpcを電気刺激すると胸筋のふるえにどのような変化が起こるかを調べた。Rpcに3V以下の電気刺激を加えるとふるえはわずかに促進された。しかし5V以上の電気刺激では10msec以下の潜時でふるえの抑制が始まり、約40msecで抑制は最大に達した。その後抑制は徐々に減弱していったが、刺激後約70msecから再び抑制が始まり60〜250msec間持続した後、約1秒間にわたってふるえの促進がみられた。このように胸筋のふるえに対するRpcの電気刺激の効果は複雑である。しかしRpc付近には網様体背髄路の起始細胞や通過線維が多数存在することを考えると、強い電気刺激を与えた場合Rpcのニュ-ロンだけではなく、他のニュ-ロンをも刺激してしまったことが考えられる。従って、来年度は橋網様体全域に局所の電気刺激を試み胸筋のふるえに対するRpcニュ-ロンの役割を明らかにしようと考えている。今年度はこの他に胸筋のふるえの抑制に関する一次求心性線維の特徴も調べた。長腓骨筋への電気刺激の強度を徐々に上げていくと背髄表面から記録される誘発電位にN1波が出現し、それに遅れてふるえの抑制が発現した。その後刺激強度を上げていくとN1波の振幅が増大し、抑制強度も増加した。N1波の開始潜時から一次求心性線維の伝導速度は約40m/sとなり、運動による胸筋のふるえの抑制にはAβ/II群線維が関与していることが示唆された。さらに電気刺激によって生じた求心性入力は主に第3〜4腰髄の第IV層に送り込まれていることが明らかになった。胸筋のふるえの抑制に関与する背髄内の介在ニュ-ロンの組織学的標識は、Jankowskaの方法に従って介在ニュ-ロンの活動性を上昇させて実験を行ったが、WGAーHRPの取り込みは認められなかった。来年度は別の方法で解決にあたる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Nomoto: "Effect of electrical stimulation of lateral reticular formation on shivering in the breast muscle of pigeons." Jpn.J.Physiol.39(Suppl). S281 (1989)
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[Publications] S.Nomoto: "Some properties of the neural circuit mediating the inhibitory effects of treadmill exercise on shivering in pigeons." Dobutsu seiri. 6(4). 206 (1989)
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[Publications] S.Nomoto: "An anatomical study of neural circuits that mediate the inhibitory effects of treadmill exercise on shivering in pigeons." "Thermal Physiology 1989"ed.by J.B.Mercer Excerpta Medica,Amsterdam. 703-705 (1989)