1988 Fiscal Year Annual Research Report
心筋アドレナリン性α_1ー受容体における糖鎖の役割:β_1ー受容体との比較
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63570102
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
長友 孝文 新潟薬大, 薬理, 教授 (60121240)
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Keywords | アドレナリン性α_1受容体 / アドレナリン性β_1-受容体 / ^3H-CGP12177 / ^3H-prazosin / ラット / 心筋膜 |
Research Abstract |
この研究は心筋アドレナリン性α_1-受容体の糖鎖の役割をβ_1-受容体のそれと比較することに主眼をおいたが、まず心筋のα_1-およびβ_1-受容体の性状を解明することについて検討された。アドレナリン性β_1-受容体性状の解析は、ラット心筋を用い、radioligandとして_3H-CGP12177を用いておこなわれた。scatchard分析によって得られたラット心筋膜のKdおよびBmax値はそれぞれ408.5±67.2pMおよび12.3±0.8fmoles/mg proteinであった。一方、lーmetoprololを用いるdisplacement curveの実験からは、2つの結合部位を認め、これらの2つの結合部位はβ_1-およびβ_2-受容体と考えられ、^3H-CGP12177はβ_2受容体よりもβ_1-受容体に選択性が1.8倍強いことがわかった。また、これらの2つの結合部位はβ-受容体に選択性のある遮断薬の力価を評価するのに用いることもできることが判明した。水溶性のradioligandである^3H-CGP12177は心筋膜のβ-アドレナリン性の結合部位の性状を解析するに十分にその役割を果すことが証明された。一方、アドレナリン性α_1-受容体の性状は同様にラット心筋膜を用い、またradioligandとして^3H-prazosinを用いてβ_1-受容体と比較検討をおこなった。心筋膜α_1-アドレナリン性受容体のサブタイプ(α_<1A>およびα_<1B>)に分類する実験は、脳のシナプトゾーム膜で認められたデータのようにサブタイプに分類することができなかった。これは脳シナプトゾームと心筋細胞膜(sarcolemma)の性状の違いに起因しているものと考えられる。そこで、^3H-prazosinを用いscatchard分析をおこなったところ直線性を示した。これらのKdおよびBmax値は493±305pMおよび29.8±18.8fmoldes/mg proteinであった。Bmaxはα_1-受容体がβ_1-受容体よりも高い値を示したがKd値はほぼ同じ値を示した。これらの実験結果はさらに糖鎖の役割あるいはpolymeric effectors作用などの効果を判定する実験系に進められる結果であると考えられた。
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