1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570119
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
公文 明 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10136616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 誠治 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70136604)
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Keywords | 脳微小管結合蛋白 / 精製 / チュブリン / ホスホアミダーゼ / 活性化 |
Research Abstract |
1.脳の微小管は、細胞分裂や軸索流あるいは神経伝達物質の分泌などに重要な役割を演じている。微小管の主要構成因子であるチュブリンの解離と会合とには、微小管に微量に含まれている微小管結合蛋白質の燐酸化による修飾等が深く係わっていることが示唆されている。このような微小管結合蛋白質としては、タウ因子とマップ1、マップ2の三種類が知られているが、ブラックらはこれら以外にも数多くの微小管結合蛋白質が存在すると報告している。本研究ではこれらの未同定脳微小管結合蛋白質の一つを分離精製し、チュブリンとの結合様式を検討した。その結果、この蛋白質は分子量が約5万ダルトンの四量体からなる等電点8.5-8.6の塩基性蛋白であり、カルシュウムイオンが存在していてもまた低温でも安定なチュブリンとの複合体を形成し、タウ因子やマップとは異なる性質を示すことが明らかとなった。 2.上記の塩基性蛋白質分画を分析していたところ、ある種の塩基性化合物がホスホアミダーゼを活性化することを見いだした。塩基性化合物によって賦活されるこのホスホアミダーゼは、スミスらによって報告されているホスホアミダーゼとは基質特異性を異にし、ホスファターゼ活性および糖などへの燐酸基転移活性を示さない未報告の酵素であることが判明した。国際生化学連合酵素委員会の分類では、ホスホアミダーゼは一応EC3.9.1.1に分類されてはいるが、燐酸化蛋白のホスファターゼ(EC3.1.3.16)あるいはグルコース6燐酸ホスホリラーゼ(EC3.1.3.9)の一属生ではないかとして、ホスホアミダーゼそのものは酵素分類上の存在意義を失いつつある。そういった意味では、今回われわれが発見したホスホアミダーゼ、EC3.9.1.1の分類の有用性を示すものである。今後の研究により、本酵素の生理的な意義を明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大森斉: Experientia. 45. 163-164 (1989)
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[Publications] 大森斉: Proc.Natl,Acad.Sci.USA.
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[Publications] 公文明: Nature.