1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質結合型膜蛋白質の構造的特徴、生合成およびプロセシング
Project/Area Number |
63570124
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
池原 征夫 福岡大学, 医学部, 教授 (70037612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 昇 福岡大学, 医学部, 助手 (80154904)
緒方 繁憲 福岡大学, 医学部, 助手 (30131816)
三角 佳生 福岡大学, 医学部, 助手 (10148877)
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Keywords | 糖脂質結合型膜蛋白質 / 5′ーヌクレオチダーゼ / 癌胎児性抗原 / 糖脂質アンカー / 5′ーヌクレオチダーゼの一次構造 |
Research Abstract |
私達はこれまでの研究で、アルカリホスファターゼが特殊な構造の糖脂質と結合することによって膜にアンカーすることを明らかにした。本研究では、さらに5′ーヌクレオチターゼおよび癌胎児性抗原(CEA)について検討した結果、以下の知見を得た。 1.ラット肝5′ーヌクレオチターゼの一次構造の決定。 ラット肝cDNAライブラリーを調製し、本酵素に対する抗体によってスクリーニングした結果、3.2kbのcDNAを分離した。その塩基配列から推定される本酵素の一次構造は576個のアミノ酸から成ることがわかった。エドマン分解法によって決定した精製酵素のN末端アミノ酸配列と対比した結果、最初の28個のアミノ酸配列は小胞体膜透過のシグナルペプチドであることが同定された。一方、全アミノ酸配列をHydropathy値でプロットした結果、本酵素のC末端には糖脂質アンカーで修飾されるためのシグナル構造(約20個の疎水性アミノ酸配列)が存在することがわかった。 2.癌胎児性抗原(CEA)が糖脂質結合型であることの証明。 ヒト膵癌由来のQGP-1細胞を用い、生合成レベルで糖脂質アンカーの各成分(^3Hーエタノールアミン、イノシトール、パルミチン酸およびステアリン酸)がCEAに取り込まれることを明らかにした。また、^3Hーロイシンおよび^<35>Sーメチオニンを用いパルスーチェイス実験を行なった結果、前者では150kDaの前駆体および200kDaの成熟型の両者が検出されたが、後者では150kDaの前駆体のみが同定された。この事実は、糖脂質アンカーによるCEAの修飾にはC末端の疎水性ペプチド(メチオニンはここだけに含まれる)の切断を伴なうことを意味する。さらに、細胞表面に局在するCEAは、ホスファチジルイノシトールに特異的なホスホリパーゼCによって膜から遊離されることが確認された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yoshio Misumi: Biochemical Journal. 249. 661-668 (1988)
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[Publications] Noboru Takami: Journal of Biological Chemistry. 263. 3016-3021 (1988)
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[Publications] Shigenori Ogata: Journal of Biological Chemistry. 263. 10489-10494 (1988)
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[Publications] Noboru Takami: Journal of Biological Chemistry. 263. 12716-12720 (1988)
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[Publications] Motomu Kuroki: Cancer Letters. 43. 151-157 (1988)
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[Publications] Shigenori Ogata: Journal of Biological Chemistry. 264. (1989)
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[Publications] Yukio Ikehara: "Post-Translational Modification of Proteins by Lipids:A Laboratory Manual.*Identification of the glycolipid anchor of alkaline phosphatase by metabolic labeling(pp.16ー21)" Springer, 146 (1988)
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[Publications] Yukio Ikehara: "Placental and Endometrial Proteins:Basic and Clinical Aspects.*Post-translational modification of human placental alkaline phosphatase by a glycolipid for membrane-anchoring(pp.31" VSP Publishers., (1988)