1988 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンE受容体の精製とその性質に関する研究
Project/Area Number |
63570125
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 研究副部長 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 研究員 (60201696)
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Keywords | 副腎髄質 / プロスタグランジンE受容体 / G蛋白 / アデニレートシクラーゼ / イノシトールリン脂質代謝 / 細胞膜における情報伝達 |
Research Abstract |
63年度は牛副腎髄質のPGE受容体を精製するため、その性質の解明に主眼をおいたが、以下に述べる成果が得られている。 1.可溶化PGE受容体と精製G蛋白のリポソーム膜上での機能的再構成 受容体の情報伝達機構はカップルするG蛋白に規定されるので、牛副腎髄質(adrenal medulla)よりG蛋白の精製を行った。脳よりすでに均一に精製されているGi、Goとは異なる新しい百日咳菌毒素感受性G蛋白を単離してGamと名づけた。さらに精製したGi、Gam、Goと可溶化したPGE受容体とリポソーム膜上で機能的再構成に成功した。WGAレクチンカラムに吸着させてG蛋白を除去したPGE受容体にGi、Go、Gamを添加すると用量依存的に〔^3H〕PGE_2の結合活性の回復が認められ、GTP_γS共存下ではその回復が阻害された。一方、PGE受容体と会合したG蛋白はPGE_2によりG蛋白が持つ内因性GTPase活性の増加が認められた。以上の結果は、リポソーム膜上でPGE受容体とG蛋白の機能的会合に成功した最初の報告である。しかしながら、Gi、Gam、Go間の選択性は認められなかった。 2.PGE受容体のGiを介するアデニレートシクラーゼ系との連関 これまで牛副腎髄質PGE受容体は、百日咳菌毒素非感受性にイノシトールリン脂質代謝系とカップルしていると報告されたが、1.の結果をもとに再検討した結果、PGE受容体はGiを介してアデニレートシクラーゼにも抑制的に作用することを明らかにした。一方、G蛋白を直接活性化させるNaFを用いて、PGE受容体がG蛋白を介してイノシトールリン脂質代謝を亢進させることを確認した。以上の結果は、PGE受容体がG蛋白を介して2つの異なる情報伝達系とカップルしていることを示唆しているが、Scatchard解析では牛副腎髄質PGE受容体は単一である。PGEのアゴニストを用いても両者を区別することはできない。64年度は、これらの成果をさらに発展させると共に、PGE受容体の単離精製を試みる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yokohama,H.: J.Biol.Chem.263. 1119-1122 (1988)
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[Publications] Negishi,M.: J.Biol.Chem.263. 6893-6900 (1988)
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[Publications] Yokohama,H.: Biochem.J.255. 957-962 (1988)
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[Publications] Sugama,K.: Biochim.Biophys.Acta. (1989)
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[Publications] Negishi,M.: J.Biol.Chem.264. (1989)
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[Publications] Ito,S.: Ann.N.Y.Acad.Sci.(1989)
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[Publications] Ito,S.: "Adv.Prostaglandin,Thromboxane,Leukotriene Res." Reaven Press, (1989)
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[Publications] Hayaishi,O.: "Mechanisms of transmembrane signalling" Elsevier, (1989)