1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570126
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
田辺 忠 国立循環器病センター研究所, 共通実験室, 室長 (60025624)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 俊行 岡山大学, 工学部, 助手 (20187917)
横山 知永子 国立循環器病センター, 研究所・共通実験室, 室員 (90200914)
|
Keywords | 脂肪酸生合成 / 代謝調節調節 / アセチルCoAカルボキシラーゼ / mRNA |
Research Abstract |
脂肪酸は、成体蒔くやエネルギー源である中性脂質の構成成分として生体にとって不可欠である。しかし、脂肪酸の過剰は肥満や種々の循環器病の成因となっている。このため本研究では、脂肪酸生合成調節機構の解明を目的として、脂肪酸生合成率速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼの分子レベルでの調節機構の研究を行い、以下に述べる結果を得た。 1.アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子がどの組織で発現しているかを調べるため、ニワトリ各組織より抽出したRNAとすでに得られているcDNAをプローブとして、RNAブロットハイブリダイゼーションにより酵素mRNA量を測定した。肝臓、脳、尾腺、精嚢、腎臓で多く、小腸、胸筋、膵臓でほとんど検出されなかった。 2.ニワトリ個体発生時ならびに成長時の肝臓での酵素mRNA量を調べた。ハッチング1日前に酵素mRNA、蛋白ともに増加し始めほぼ直線的に増加する。4日目で最大値を示した。この増加の2/3は絶食により消失した。4日目以後成鶏に至るまで酵素蛋白量はほぼ一定であったが、mRNAは15日に次の最大値を飯し、21日目の実験期間終了時までほぼ一定であった。しかし、成鶏では約1/(10)に低下していた。これらの事実は肝アセチルCoAシルボキシラーゼの酵素量調節において転写および転写以後の2段階で調節が存在する可能性が示された。一方、心臓においては発生、成長両期間において酵素蛋白量、mRNA量共にほとんど変動しなかった。 3.現在、ファージベクターであるEMBL3を用いた遺伝子ラブラリーをスクリーニングし、得られるクローンの塩基配列を決定している。 4.精製中にプロテアーゼで修飾された酵素は活性調節因子であるクエン酸に対する依存性が失われる。この修飾を行うプロテアーゼの一つを精製し、その性質を調べた結果カテプシンBであることが分った。
|
-
[Publications] 田辺忠: 脂質生化学研究. 30. 159-162 (1988)
-
[Publications] 高井俊行: Arch.Biochem,Biophys.266. 313-318 (1988)
-
[Publications] 和田健司: J.Biochem.104. 472-476 (1988)