1988 Fiscal Year Annual Research Report
正常絨毛細胞及び腫瘍細胞におけるゴナドトロピンの生合成機構の相違の解明
Project/Area Number |
63570133
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
榊原 隆三 長崎大学, 薬学部, 助教授 (30127229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 定臣 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (50136644)
石黒 正恒 長崎大学, 薬学部, 教授 (90038274)
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Keywords | hCG / ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロビン / 糖タンパク質ホルモン / 糖鎖プロセシング / BeWo細胞 / hCG生合成 / hCGサブユニットの解離会合 / BeWo細胞のhCG産生 |
Research Abstract |
ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロビン(hCG)は、α、β二つのサブユニットが非共有結合的に会合したタイマー構造を持つ糖タンパク質ホルモンである。その生理機能を発現するためには、細胞内で別個に生合成されたサブユニットが会合しなければならないが、それが細胞内のどの部位でどの様にして起こっているかはよくわかっていない。この点を明らかにするため、胎盤絨毛細胞抽出液中に存在するhCGの蛋白化学的特徴について調べた。すなわち、免疫沈降法2次元-SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及びイムノバインディング法を用いて胎盤細胞内hCGサブユニットの分子形態について分析した。その結果、胎盤細胞中では主として未成熟なhCGサブユニットがすでに会合し、しかもそれが更に集合した重合体として存在することがわかった。今後この重合体が細胞内のどの部位に存在するか、また分泌されるときは重合状態がどの様に変化するか等について調べる予定である。 2.腫瘍細胞のhCG生合成機構と正常絨毛細胞のそれとの相違を明らかにするために、絨毛癌由来細胞株であるBeWo細胞の産生するhCGサブユニットの蛋白化学的特徴について調べた。シブチリルサイクリックAMP刺激下で培養したBeWoから得た細胞内未成熟型及び分泌された成熟型hCGサブユニットについてイムノバインディング法で分析した。その結果、腫瘍細胞(BeWo)由来hCGは、正常細胞のものと比べて分子量が異なっており、また各種グリコシダーゼに対する感受生も異なっていたことから、癌化によってhCGの分子形態が変化することがわかった。これは、腫瘍細胞における糖鎖ブロセシング酵素の特異性などが癌化によって変化したことなどが考えられ、今後癌患者尿から得られるhCGを分析することなどにより更にその相違点を明かとし、癌化との関連性を追求する予定である。
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