1988 Fiscal Year Annual Research Report
キニノーゲン・チオールプロティナーゼ複合体の病態生化学的意義
Project/Area Number |
63570135
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大久保 岩男 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80152073)
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Keywords | キニノーゲン / カルパイン / 複合体 / モノクロナール抗体 / ELISA |
Research Abstract |
63年度の研究において得られた成果は以下の通りである。 1.高分子キニノーゲン・カルパインI複合体の安定化:高分子キニノーゲン・カルパインI複合体は、二架橋剤disuccinimidylsubrateを用いることにより、非解離性の安定な複合体とすることができた。得られた架橋複合体は凍結、融解にもきわめて安定であり、抗原およびELISA用標準サンプルとして有用であった。 2.モノクロナール抗体の作製:上記架橋複合体を抗原としてBALB/cマウスに免疫し、常法に従いモノクロナール抗体を作製した。その結果、高分子キニノーゲンおよびカルパインIを認識せず、架橋複合体のみを認織する抗体産生ハイブリドーマを5個(HCC-1〜HCC-5)得た。さらに、非架橋複合体を認織するものはHCC-3とHCC-4の2種のハイブリドーマ産生抗体であった。また、これら2種の抗体は、低分子キニノーゲン・カルパインI複合体、高分子キニノーゲン・カルパインII複合体および低分子キニノーゲン・カルパインII複合体をも認織した。 3.ELISA糸の確立:固相化抗体として抗カルパインIポリクロナール抗体、二次抗体としてビオチニル化HCC-3抗体を用いたサンドイッチ法により標準曲線を作成した。その結果、測定限界は100ng/mlであった。 4.スクリーニング:ヘパリン採血を行った正常人血漿12例、患者血漿53例を用いて、上記ELISA法にて測定を行った。その結果、正常人血漿で100ng/ml以上のものは1例であった。一方患者血漿では600ng/ml以上が1例、500〜600ng/mlが2例、400〜500ng/mlが2例、300〜400ng/mlが7例、200〜300ng/mlが5例、100〜200ng/mlが13例であった。また疾患別では、肝癌、肝炎で高値を示傾向が見られた。 今後、さらに症例数、検体数ともに増し、キニノーゲン・カルパイン複合体の種々疾患での動態の正確な把握に努めたいと考える。
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Research Products
(1 results)