1990 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの初期にみられるHCA/DR陽性細胞の意義ー慢性炎症化機構におけるKey細胞の特性についてー
Project/Area Number |
63570138
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村上 一宏 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90190876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 光保 東北大学, 医学部, 助手 (20194855)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 清膜細胞 / リウマトイド結節 / HLAーDR陽性細胞 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の滑膜炎におけるKey細胞であるHLAーDR陽性細胞の意義について以下の検討を行なった。1.HLAーDR陽性細胞の機能 前年度までの検討で、RA滑膜炎の増殖の中心となるのはSublining layerのD細胞であり、かつこれは2種(DM細胞,DF細胞)に分類されることを示した。今年度は主に培養糸を用いての検討を加えたが、滑膜組織を培養した場合にはDM,DF細胞それぞれに由来する細胞が得られ,とくに後者が培養系における主要な細胞となることが示された。この細胞は種々の波性因子添加の影響下に、増殖能、細胞表面マ-カ-,コラ-ゲナ-ゼなどの酵素産生能の変化を示し、DF細胞が慢性破壊性炎症であるRA滑膜炎においてeffector的細胞として作用し、かつその機能が種々の液性因子によって調節されていることが示唆された。一方、DM細胞は培養系においても強いClassII抗原の発現を持統し、滑膜炎の免疫学的反応に重要な関与をしているものと考えられた。2.リウマトイド結節構成細胞と滑膜細胞の比較 リウマトイド結節は、慢性関節リウマチの関節外症状のひとつとして重要なもであり、今年度は慢性関節リウマチ、リウマトイド結節構成細胞の比較、病変の成り立ちについての考察を加えた。リウマトイド結節中にも、RA滑膜炎に観察されるDM,DF細胞それぞれに形態、表面マ-カ-の類似した細胞が観察されるが、リウマトイド結節ではRA滑膜炎に比してリンパ球系細胞の出現が少ない。臨床的にはRA滑膜炎が慢性、遷延性の経過をとるのに対し、リウマトイド延節は一過性の経過をとるという相達性がみられる。しかがって2、RA滑膜炎、リウマトイド結節それぞれに出現するリンパ球系細胞の質的、量的な差に注目され、RA滑膜炎の成り立ちにおいては、リンパ球およびそれから産生されるサイトカインの関与が重要であろうと推測された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 村上 一宏: "リウマトイド結節構成細胞の解析ー滑膜細胞との比較ー" 炎症. 10. 349-354 (1990)
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[Publications] 村上 一宏: "ATLA抗体陽性の関節炎の2症例ー免疫組織学的・電顕的観察ー" 最新医学. 45. 194-195 (1990)
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[Publications] 沢井 高志: "慢性関節リウマチ滑膜初期病変の免疫組織学的検討ーモノクロナル抗体を用いた炎症性細胞の定性ならびに定量的解析ー" リウマチ. 30. 247-254 (1990)
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[Publications] 沢井 高志: "慢性関節リウマチ最近の話題ーMetalloproteinaseとマトリックスの観点からー" 病理と臨床. 8. 1478-1484 (1990)
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[Publications] Takashi Sawai: "Stromelysin synthesizing cells in the synovial tissue of rheumatoid arthiritis demonstrated by in situ hybridization and immunohistochemical methods" Tohoku J.Exp.Med. 160. 285-286 (1990)