1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570145
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
重松 和人 長崎大学, 医学部, 講師 (20154205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 正紀 長崎大学, 医学部, 助手 (50161766)
片岡 泰文 長崎大学, 医学部, 講師 (70136513)
丹羽 正美 長崎大学, 医学部, 助教授 (20136641)
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Keywords | 成長因子 / IGF-I / 受容体 / 定量的receptor autoradigraphy / ラット脳 / ヒト副腎 / 脳腫瘍 / 肺癌 |
Research Abstract |
種々の成長因子が、細胞増殖や分化に関係していることは、よく知られているが、近年では、細胞の癌化・増殖にも重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。今回、我々は、成長因子の一つであるIGF-Iについて、定量的receptor autoradiography法を用いて検討した。1.ラット脳におけるIGF-I特異結合部位は、anterior pituitary gland,oltactory bulb,choroicl plexus,median eminenceおよびlimbic areaに高濃度に見られ、cerebral cortex(II、VI層),hypothalamus,thalamusおよび。crcumventricular orgonsなどにも広く分布していた。これら特異結合は、single classでhigh attinityを示し、中枢組織においては、neurotransmitter又はneuromodulatorとして作用する可能性が考えられる。2.IGF-I特異結合は、ヒト胎児および成人副腎にも認められたが、胎児副腎における^<125>I-IGF-I結合がインスリンによって、弱いながらdisplaceされたのに対して、成人副腎では殆どdisplaceされなかった。この事は、IGF-I受容体特性が胎児と成人とでは異なっていることを示しており、作用そのものも変化している可能性がある。3.脳腫瘍であるmeningioma,gliomaおよびmedulloblastomaにもEGF同様、IGF-I受容体の発現が見られ、異型性が増すにつれて、高濃度のIGF-I受容体の発現傾向が認められた。又、IGF-Iによって^3H-thymiclineの取り込みが有意に増加することも認められた。4.肺癌では、4つの型の癌いづれにもIGF-I受容体の発現を見たものの、扁平上皮癌や小細胞癌に高濃度に認められたのに対して、腺癌では低濃度のIGF-I受容体の発現しか見られなかった。免疫組織化学によるIGF-I様物質の検索では、その陽性細胞の局在と受容体濃度は必ずしも一致しておらず、今後の検索が必要である。いづれにしても、IGF-Iが細胞の悪性化・増殖に何らかの役割を果たしていることは間違いないものと考える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 栗原正紀: 神経化学. 27. 176-177 (1988)
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[Publications] 栗原正紀: 脳と神経. (1989)
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[Publications] Keiichi Matsuo.: Cell.Mol.Neurobiol.(1989)
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[Publications] Masaki Kurihara.: J.Neurosurgery. (1989)