1988 Fiscal Year Annual Research Report
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63570147
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浜田 新七 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00172974)
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Keywords | ヒト大腸癌 / 細胞核DNA顕微蛍光測光法 / 異倍体癌 / Kーras遺伝子 / dot blot解析 / Southern blot解析 |
Research Abstract |
外科切除、ポリペクトミーまたは生検により得られたヒト大腸組織のホルマリン固定パリフィン包理材料を対象として細胞核DNA顕微蛍光測光法によりDNAパターンの検索を行なうことともに、同一材料からDNAを抽出した場合におけるDNAの性状と収量に関する検討を行なった。また並行して、抽出したDNAのKーras遺伝子の増幅を調べた。 大腸の"severe dysplasia"のDNAのパターンを癌の示すバターンと同一であった。また、隆起型早期大腸癌と大腸進行癌における異倍体癌の頻度差と早期および進行期の胃分化型腺癌における異倍体癌の頻度からみて、大腸進行癌の少なくとも60%は非隆起型早期癌を経由したものであるとの仮説を支持するに至った。そして、この仮説を検証する方法の一つは非隆起早期大腸癌のDNAパターンを調べることであり、異倍体癌が過半数を占めておればこの仮説か支持されることを指摘した。 同一パラフィン包埋材料から抽出したDNAの性状をみると、20Kbp以上のDNAを含まれていたが、5Kbp以下のものが多かった。従って、この状態ではdot blotの試料としては解析可能であったが、Southern blotでは必ずしも良好な結果を示さなかった。試料が豊富な場合には、電気泳動後20Kbp以上のDNAフラグメントを切り出し再精製してからSouthern blot解析することも可能であった。しかし、試料が少ない微小癌ではこの方法が使えないため、固定法をAMeX法に変更することとDNA顕微測光済みの細胞からもDNAを抽出することを計画している。 プローブとして国立予防衛生研究所から供与されたcーKーraslを用いてdot blot解析した結果では異倍体癌の原発病巣と転移病巣でKーraslの増幅を認めたが、2倍体パターンを示す正常粘膜および軽度異型腺腸では増幅を認めなかった。現在、解析症例とプローブの種類を増やしてさらに検索中である。
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[Publications] Hamada,S;Itoh,R;Fujita,S.: Cancer. 61. 1555-1562 (1988)
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[Publications] Hamada,S;Namura,K;Fujita,S.: Cancer. 62. 1503-1510 (1988)
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[Publications] 浜田新七,藤田晢也: 生体の科学. 39. 400-402 (1988)
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[Publications] 苗村健治,細井信吾,八重樫和宏,矢田善弘,山形昇,山田浩之,浜田新七,藤田晢也: 医学のあゆみ. 145. 525-526 (1988)
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[Publications] Hamada,S;Fujita,S.: Cytometry. 10. (1989)
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[Publications] 浜田新七,苗村健治,桂奏,藤田晢也: 京府医大誌. 98. (1989)
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[Publications] 浜田新七: "組織細胞化学1988(日本組織細胞化学会 編)細胞単離法のよるDNA蛍光測光法" 学際企画, 25-37 (1988)