1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570154
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松尾 崇 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00165771)
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Keywords | 大脳 / 基底核 / 高血圧性脳出血 / 一酸化炭素中毒 / 血管構築 / 血管抵抗 / フラクタル |
Research Abstract |
大脳基底核の被殻は高血圧性脳出血の好発部位であり、隣接する淡蒼球は一酸化炭素中毒による病変の好発部位である。これらの病変の発生機構には血液供給にあずかる動脈構築の特異性が重要であると考えられる。本研究では基底核における動脈構築の詳細な計測、およびその血行力学的な解析法の開発により、基底核における循環の特性および上記病変の発生部位選択性の機構を解明することを目的としている。 1.補助金により、圧力変換器・高解像度マイクロスコープ用レンズ・コンピューター用品などを購入し、これらを用いて以下の実験を行った。 (1)ネコ27匹を用い、種々の血管鋳型材料(シリコーン樹脂、アクリル樹脂、バリウム入りゼラチン)を用いて脳血管の鋳型標本を作成した。 (2)上記標本のうち比較的良くできた8例について、動脈の直径・長さ・分岐角度など幾何学的量の計測を高解像度マイクロスコープを用いて行った。 (3)以上の幾何学的なデーターから、動脈枝全長にわたる血管抵抗を推定するための解析法を検討し,計算プログラムを作成した。 (4)血管標本をパノラマ顕微鏡写真に撮り、血管樹の幾何学的な性質を調べた。 2.以上の実験・解析の結果次の知見が得られた。 (1)脳の血管の幾何学的分布はフラクタル性(自己相似性)をもち、分布の複雑さの程度をフラクタル次元で表すことができる。 (2)大脳基底核の被殻や尾状核を潅流している血管は、脳表や淡蒼球に分布している血管と比較して、直径0.1mm以上の血管での循環抵抗が小さい(つまり血圧降下が小さい)という特徴がある。これは高血圧性脳血の病理発生において重要であると考えられる。
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[Publications] 松尾崇: 形の科学会報・1988年6月号. 50-53 (1988)
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[Publications] T.Matsuo: Biorheology. (1989)
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[Publications] T.Matsuo: FORMA. 4. (1989)
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[Publications] T.Matsuo: Proceedings of 2nd International Conference on Biofluid Mechanics and Biorheology. 2. (1989)
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[Publications] 松尾崇: 東京医科歯科大学難治疾患研究所年報. 16. (1989)