1988 Fiscal Year Annual Research Report
自己抗体産生におけるMHCクラスII分子とT細胞抗原受容体との相互作用の解析
Project/Area Number |
63570169
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00127127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 隆 順天堂大学, 医学部, 助手 (20185440)
|
Keywords | ニュージーランドマウス / 全身性エリテマトーデス / 主要組織適合遺伝子複合体 / T細胞抗原受容体 / 抗DNA抗体 / コンジェニックマウス / クラスII分子 |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)の病因解析のため我々はSLEのモデルマウスである(NZB×NZW)F1(B/WF1)マウスを用いて遺伝的解析を行ってきた。その結果次の事が明らかとなった。1)B/WF1マウスのSLE病態発症は、マウスの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)であるHー2に規定されており、両親系であるNZBのHー2^dおよびNZWのHー2^zがHー2^d/Hー2^zのヘテロの状態で存在していることが必要である。2)B/WF1マウスの抗DNA抗体産生にはT細胞抗原受容体(TcR)β鎖遺伝子が関与しており、Hー2^d/Hー2^zと協同して作用する。3)これらの協同作用は、細胞学的検査結果を考え合せると抗DNA抗体産生β細胞膜上のHー2^d/Hー2^zに由来するヘテロIa分子と、この抗体産生を統御しているL3T4陽性補助T細胞膜上のTcRとの相互作用によるものと考えられる。 今回、我々はB/WF1マウスにみられる抗DNA抗体産生に、実際にIa分子およびTcRが働いているか否かを検討する目的で、従来から樹立しているHー2コンジェニックマウスに加えて、TcRβコンジェニックマウスを作製することを志みた。方法としては、NZBとNZWのTcRβ遺伝子を入れかえたコンジェニックマウス系を樹立し、どちらのTcRが重要であるかを検索する。現在、NZBマウスは退交配5代目まで、NZWマウスは退交配8代目まで進行中である。また、TcRβコンジェニックマウスの作製の途中のマウスをHー2コンジェニックNew Zealandマウスと交配してF1マウスを作製し、これらのマウスに出現するSLE病態と、Hー2タイプ、TcRβタイプとの関連を検討中である。
|
-
[Publications] Hirose,S.;Ogawa,S.;Nishimura.H;et al.: J.Rheumatol.15. 1489-1492 (1988)
-
[Publications] Ohgaki,M.;Ueda,G.;Shiota,J.;Nishimura,H.;Hirose,S.;et al.: Submitted for publication.
-
[Publications] 広瀬幸子,白井俊一: 日本臨床. 46. 764-771 (1988)
-
[Publications] 広瀬幸子: 感染・炎症・免疫. 18. 81-88 (1988)
-
[Publications] 広瀬幸子: 臨床免疫. 20. 812-818 (1988)
-
[Publications] 広瀬幸子: 日本臨床免疫学会会誌. 11. 475-477 (1988)
-
[Publications] 広瀬幸子,関川巌,白井俊一: "現代免疫学" 医学書院 山村雄一,多田富雄 編, 220-227 (1988)
-
[Publications] 広瀬幸子: "Annual Review 免疫1988" 中外医学社, 240-248 (1988)