1988 Fiscal Year Annual Research Report
支持細胞を用いないアフリカ睡眠病病原体の培養法の確立
Project/Area Number |
63570180
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
籔 義貞 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70080083)
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Keywords | アフリカ睡眠病 / 血流型原虫 / 支持細胞を用いない継代培養 / クローニング |
Research Abstract |
アフリカ睡眠病の病原体(Trypanosoma b.gambiense,T.gと略)血流型原虫の支持細胞を用いた培養法は著者により確立された。さらに培養法を改良し支持細胞を用いない血流型原虫の継代培養法の確立はT.gの培養の研究において残された重要な課題である。原虫培養における支持細胞の果たしている役割は不明な点も多いが、増殖に必須かつ不安定な物質の継続的な供給源であろうことは、支持細胞を除くと原虫は生存できない点からも容易に推測された。その物質の中で最も重要なものがシステインであることが最近の研究において明らかにされた。しかしシステインは非常に不安定で、培養液に添加しても直ちに酸化され原虫が利用することのできないシスチンに変化てしまうことが確認されている。この酸化を促進する因子は添加する牛胎児血清由来の銅イオンであることが最近日本の研究者によって明らかにされた。この事実から銅イオンのキレート剤であるバソクプロインスルホン酸ナトリウム(BCS)を用い銅イオンを除去した牛胎児血清を用いアフリカ睡眠病病原体血流型原虫の培養系確立のため次の研究を計画した。1.BCSの至適濃度の検討 2.培養液の検討 3.緩衝液HEPESの濃度の検討 4.システイン追加量およびその間隔の検討。研究の結果次のことが判明した。血流型原虫は培養液DーMEM(25mMHEPES、pH7.2、20%牛胎児血清)にBCS(10uM)とシステイン(100uM)を加えた培養系にて長期間安定に継代培養できる。原虫は4日毎に培養フラスコ継代するが、その間培養液の交換およびシステインの追加は必要でなかった。さらに96穴の培養プレートを用いると原虫のクローニングも容易にできた。この培養系にて継代培養した原虫は150日においてもマウスに対して感染性を保持していた。
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Research Products
(1 results)