1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい試験管内培養による組織寄生線虫症の化学療法に関する生理・生化学的研究
Project/Area Number |
63570183
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
牧 純 北里大学, 医学部, 講師 (60050697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 十四男 北里大学, 医学部, 教授 (20050312)
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Keywords | 広東住血線虫 / フルベンダゾール / 試験管内維持 |
Research Abstract |
広東住血線虫の感染したラットにフルベンダゾールを経口投与し用量と効果の関係を最初に明らかにした。10mg/kg/日の10日間の連続投与終了3ケ月後に剖検したラットでは成虫の減少率が79%であり、雌雄の成虫共に回収出来たラットは5匹中1匹であった。10mg/kg/日の5日間連続投与した群では投与後1ー2週間ですべてのラットで第1期幼虫排出停止を認めたが、その約半数のラットでは1ー2ケ月後に再びL_1排出をみた。投薬後5ケ月の剖検で成虫減少率は38ー78%であった。10mg/kg/日の3日連続投与後16時間を経て剖検した群に於ては成虫数の減少は全くなかった。しかし投薬群より回収した成虫体の1匹当りの重量は対照群のそれより小さかった。更に回収成虫体による試験管内の燐酸エステル水解酵素活性(pH7.3。基質はp・nitrophenyl phosphate)が投薬群で対照群よりも有意に低かった。本虫による栄養物質の吸収・代謝に対する本剤の影響が考えられる。形態的影響についても若干知見を得た。即ち10mg/kg/日の5日連続投与によるL_1排出停止後再度のL_1排出のなかったラットより回収の雌虫体及び再度のL_1排出のあったラットからの雌虫体の生殖器官を光学顕微鏡で観察した。前者では内部が中空様で産卵停止の子宮が、後者では中空様の子宮と正常な子宮が見られた。来年度以降の研究と関連の知見も若干得られている。即ちDipetalonema viteae雄成虫をNI medium並びに20%仔牛血清添加medium中で気相を95%N_2ー5%CO_2にして試験管内維持を試みた。50%の虫体が運動を停止するまでの日数は血清非添加群と添加群孰れも約1ケ月であり、両者間に差が見られなかった。NI mediumが広東住血線虫の維持に適切であるか否かを検討した後、研究を更に推進する計画である。
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