1989 Fiscal Year Annual Research Report
レイ菌MS線毛遺伝子のクロ-ニングとその塩基配列の決定
Project/Area Number |
63570196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
守屋 哲博 九州大学, 医学部, 助手 (10140790)
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Keywords | セラチア・マルセッセンス / 線毛 / クロ-ニング / モノクロ-ナル抗体 |
Research Abstract |
セラチアの線毛は、赤血球凝集性と線毛抗体を用いた血清学的な差異からMS、MR及び赤血球凝集を示さない線毛の3種類に大別できる。セラチアUS5株の保有するMS線毛遺伝子(smfー1)及び赤血球凝集を示さないcrypticな線毛遺伝子(smfー3)は、その遺伝子をクロ-ン化し解析したところ、いずれも大腸菌タイプの遺伝子構成をしていることが判明した。smfー3は大腸菌にクロ-ン化して初めて発現するが、US5株では形態形成レベルでの問題ではなくはなく、遺伝子の発現そのものが起こっていないことがimmunoblotで確かめられた。SMFー3のサブユニットには、普通の線毛サブユニットに見られるシステインがなく、SーS結合のない立体構造を持っているだろうと推測された。SMFー3線毛抗体を用いて172株のセラチア臨床分離株を検索しても、1株も凝集する株はなかったが、smfー3を含む4つのSalI断片をプロ-ブとしてコロニ-ハイブリダイゼ-ションを行なったところ、約50%のセラチアがsmfー3をcrypticな状態で保持していると思われた。このことはUS5株以外のハイブリダイゼ-ション陽性株からsmfー3を大腸菌にクロ-ン化できたことからもその可能性が強められた。今後さらに線毛と病原性との関連性、線毛発現を調節する条件の検索、機能等について解析を進めていく予定である。また、それぞれの主要線毛サブユニット遺伝子についてはDNA塩基配列の分析を進めてきたが、さらに共通抗原を持ちながら分子量、形態の異なる他の2種のセラチアMS線毛遺伝子(smfー4、smfー5)についてもDNA塩基配列を決定し、線毛の形態形成や抗原性を担うアミノ酸部位を比較検討していく予定である。
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[Publications] 守屋哲博: "A cryptic fimbrial gene in Serratia marcescens." J.Bacteriol.171. 6629-6636 (1989)
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[Publications] 水之江義充: "Cloning and sequence of the gene encoding the major structural component of mannose-resistant fimbriae of Serratia marcescens." J.Bacteriol.170. 3567-3574 (1988)
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[Publications] 守屋哲博: "Structure and antigenicity of Serratia marcescens fimbriae expressed in Escherichia coli."
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[Publications] 守屋哲博: "Sequence and distribution of the gene encoding the cryptic fimbriae of Serratia marcescens."
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[Publications] 山本松男: "Cloning and sequence of the gene encoding the major structural component of mannoseーsensitive fimbriae of Serratia marcescens."
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[Publications] 守屋哲博: "吉川昌之介,寺脇良郎編 遺伝子からみた細菌の病原性" 莱根出版, 20 (1989)