1988 Fiscal Year Annual Research Report
D群赤痢菌の120メガダルトンプラスシドにより支配される抗原性タンパク質と細胞侵入性
Project/Area Number |
63570206
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
渡辺 治雄 国立予防衛生研究所, 細菌部, 部長 (70142130)
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Keywords | 細胞侵入性 / 赤痢菌 / プラスミド / トランスポーソン / ウエスタンブロッティング |
Research Abstract |
D群赤痢菌の細胞侵入性に関与する遺伝因子を、大腸菌K-12株にコスミッドクローニング法を用いてクローンした。その結果、大腸菌に細胞侵入性を賦与するためには、37Kbの領域と、そこから離れたところに存在するもう1つの領域-この2つの領域が必要であった。37Kbの領域をもつ大腸菌は、赤痢回復期サル血清と反応する57、43、37KDaの抗原性タンパク質を発現していた。このことは、サル血清を用いたウエスターンブロッティング法と、whole cell ELISA法によって確かめた。 37Kbの領域をTn3-lacトランスポーソンを用いて変異をおこさせた。約100の変異株について、細胞侵入性と抗原性タンパク質の有無を調べた。その結果、37Kbのうちの約12Kbの領域にトランスポーソンが挿入すると、抗原性タンパク質のいずれかがなくなっており、なくなった菌は細胞侵入性も欠失していた。各57、43、37KDaのタンパク質をコードしている遺伝子領域をトランスポーソンの挿入位置との関係から明らかにして、その遺伝子をinvB,C,Dと名づけた。invB,C,Dの転写の方向はB,C,Dの方向になっており、以下の実験から、ひとつのオペロンをつくっていると考えられた。すなわちinvBにTn3-lacが挿入すると下流のinvC,Dの発現がみられなくなること、又invCにTn3-lacが挿入するとinvBの発現がみられるがinvDがなくなることよりそう考えられた。これらのことから、抗原性タンパク質をコードしているinvB,C,D遺伝子は、細胞侵入性遺伝子群の中に存在し、細胞侵入性に何らかの役割をはたしていると考えられた。どんな役割があるのかは今後の課題である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Watanabe.: Microbiological Suences. 5. 307-310 (1988)
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[Publications] J.Kato,;K.Ito,;A.Nakamura,;H.Watanabe.: Infection and Immunity. 57. inpress (1989)
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[Publications] H.Watanabe.;A.Nakamura,: Advaces in Research on cholera and Related Diarrheas. 5. 173-179 (1988)
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[Publications] H.Watanabe.;J.Kato.;A.Nakamura,: Advaces in Research on cholera and related diarrhears. 6. 227-231 (1988)
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[Publications] Y.Kudoh,et al: Advaces in Research on cholera and related diarrhears. 6. 121-128 (1988)
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[Publications] 渡辺治雄: メディヤサークル. 33. 297-301 (1988)
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[Publications] H.Watanabe.eds.Balow,Hausler,;Lenneffe: "Laboratory Diagnosis of Infectious Diseases Principles and Practice" Springer-Verlag, 466-473 (1988)