1988 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルにおける各種インターフェロンの生物活性の検討
Project/Area Number |
63570209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10089120)
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Keywords | インターフェロン / トランスジェニックマウス / メタロチオネイン / 精子形成 |
Research Abstract |
マウスβ型及びγ型インターフェロン(IFN)のcDNAをマウスメタロチオネイン遺伝子のエンハンサー・プロモーター領域の下流に結合したDNAを構築し、このDNAを受精卵に注入してトランスジェニックマウスを得た。β型IFNを導入したものはこれまでに10系統得られ、このうち6系統で発現が認められた。mRNAは肝臓や精巣で強く発現しており、脳でも弱く認められた。又、肝臓での発現が完全にCdSO_4による誘導に依存していたのに対し、精巣での発現は持続的であった。血中IFN力価は肝臓と同じく、Cd^<2+>による誘導時にのみ検出され(最高8000IU/ml)、誘導後1〜2日間で速やかに消失した。これに対し、精巣では高濃度のIFNの蓄積が認められた。蓄積の認められたマウスでは、精巣が萎縮し、細精管上皮の変性、脱落が認められ、いずれも不妊であった。これらの結果は高濃度のIFNが精子形成細胞に対し致死的に作用することを示している。又、β型IFNを導入したにも拘らず、これらのマウスの血中にはα型IFNが検出され、β型IFNによるα型IFNの誘導が初めて示された。これは遺伝子組換え技術によって作製したβ型IFNを外部から投与した場合にも認められた。逆にα型IFNによるβ型IFNの誘導も認めている。 γ型IFNを同様にメタロチオネイン遺伝子の下流につないだものを導入したトランスジェニックマウスはこれまでに6匹得ている。3匹いた雄はいずれも不妊であり、雌のうち1系統から子孫を得ることができた。Cd^<2+>で発現を誘導したが、いずれの場合も血中からはIFN活性を検出できなかった。又、精巣でもIFN活性は検出できなかったが、β型導入マウスよりも細胞変性が顕著であった。この結果、γ型はβ型IFNに比べ、抗ウィルス活性よりも比較的細胞変性作用が強いことが示された。
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[Publications] Asano,M.;Nagashima,H.;Iwakura,Y.;Kawade,Y.: Microbiolo.Immunol.32. 589-596 (1988)
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[Publications] Tosu,M.;Terasaki,T.;Iwakura,Y.;Yoshida,M.;Kawade,Y.: Cell Structure and Function. 13. 246-266 (1988)
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[Publications] Iwakura,Y.;Nozaki,M.: Dev.Biol.128. 474-476 (1988)
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[Publications] Iwakura,Y.;Asano,M.;Nishimune,Y.;Kawade,Y.: EMBO J.7. 3757-3762 (1988)
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[Publications] Iwakura,Y.;Asano,M.;Kawade,Y.: Proceeding of the 1988 annual meeting of ISIR on interferon and cytokines. (1989)