1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新居 志郎 岡山大学, 医学部, 教授 (40029757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒尾 雄二郎 岡山大学, 医学部, 助手 (40151146)
吉田 まり子 岡山大学, 医学部, 助手 (20144743)
宇野 文夫 岡山大学, 医学部, 講師 (20093669)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 神経毒性 / 潜伏感染能 / in vitro長期持続感染 / 制限酵素切断分析 / フィ-ルドインバ-ジョンゲル電気泳動 |
Research Abstract |
(1)単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)深山株に属する5種類の細胞変性効果(CPE)変異株は、近緑した遺伝的背景とマウスに対する相互に異なる神経毒性を有する。これらのCPE変異株のゲノムDNAを、制限酵素、BamHIによる切断、およびアガロ-スゲル電気泳動ののち、EtBr染色法とサザンハイブリダイゼ-ション法によって検出し、比較検討した。その結果、CPE変異株間で、多数の制限酵素切断断片(BamHI-B、D、E、K、N、R、S、X、Y)に相違を見出したが、これらの相違は、各CPE変異株の神経毒性の強弱とは無関係であると推定された。 (2)深山・αV、βV両株は、深山CPE変異株の一つである-GCr株に由来するin vitro長期持続感染株である。両持続感染株のゲノムDNAについて、上記と同様の制限酵素切断分析を行い、深山・ーGCr株を含むCPE変異株のゲノムDNAの分析結果と比較・検討した。その結果、CPE変異株のBamHI-Z断片は、1.84〜1.99kilobase pairs(kbp)であったのに対し、両持続感染株のBamHI-Z断片は1.78kbpに短縮されていた。 (3)HSV-1の神経毒性の差異に関係する因子を見出す目的で、巨大DNA分子の分析に適したフィ-ルドインバ-ションゲル電気泳動法によって、強毒F株と弱毒深山・ーGCr株の各ウイルス粒子DNAを分析した。その結果、弱毒株のウイルス粒子DNAにのみ、ウイルスゲノムDNAよりも泳動距離の僅かに長いDNAが含まれていた。 (4)相互に異なる潜伏感染能を有する3種類の弱毒株、すなわち、SKO-1B株、深山・-GCr株、SKa株について、神経系培養細胞であるMGCおよびIMR-32細胞に対する感染能を測定した。その結果、潜伏感染能の最も低いSKa株の、神経系培養細胞に対する感染能は、SKO-B、深山・-GCr両株のそれと比べて低く(MGC細胞で各々1/11および1/12、IMR-32細胞で各々1/119および1/31)、各ウイルス株の潜伏感染能とその神経系細胞に対する感染能との間の因果関係が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 荒尾雄二郎: "病原性因子とDNA診断単純ヘルペスウイルス" 臨床と微生物. 17. 51-55 (1990)
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[Publications] Y.Arao: "Detection of varicella-zoster virus DNA by fieldinversiongel electrophoresis" Microbiol.Immunol.34. (1990)
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[Publications] 郡良文: "単純ヘルペスウイルス1型in vitro長期持続感染株のゲノムに認められたBamHI-T、J'両断片間の制限酵素切断点の欠失" 岡山医学会雑誌. 102. (1990)
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[Publications] 青地克也: "パルスフィ-ルドグラディエント電気泳動法による単純ヘルペスウイルス感染細胞におけるウイルスDNAの解析" 岡山医学会雑誌. 102. (1990)
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[Publications] Y.Arao: "Difference in the frequency of latency among various strains of herpes simplex virus type 1 in mice"
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[Publications] Y.Arao: "Effect of the pre-inoculation of avirulent strains on the latency of post-inoculated virulent strains of HSV-1 in mice"