1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトパルボウイルスの発現機構の解析及び発現蛋白の臨床血清学的応用
Project/Area Number |
63570212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 博行 九州大学, 医学部, 講師 (70136456)
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Keywords | ヒトパルボウイルス / モノクローナル抗体 / ウイルスゲノムのクローニング / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1.ヒトパルボウイルスに対するモノクローナル抗体の作成 パルボウイルス感染者の血清から超遠心法によりウイルス粒子を精製し、Ba1b/cマウスを免疫して、ウイルスの構造蛋白であるVP2に対するモノクローナル抗体を得た。 2.ヒトパルボウイルス核酸のクローニング 3人の感染者より、ウイルス粒子を分離し、ウイルスゲノムを2本鎖DNAに変換し、ラムダファージにクローンし、ウイルスゲノムのほぼ全長をカバーする3種のクローンを得ることができた。 3.大腸菌を利用したウイルス蛋白の発現 ラムダファージの左方プロモーターにウイルスのVP2をコードする遺伝子を繋ぎ、発現を試みたが不成功に終わった。そこで大腸菌の外膜蛋白のシグナルペプチドを付けて、発現された蛋白が菌体外に排出される系を用いて再度試みている。 4.動物脂肪に於けるウイルスの発現 ヒトの慢性骨髄性白血病から、分化能を有する細胞株を樹立し、この細胞に、パルボウイルスゲノムとネオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドをトランスフェクトし、G418耐性の細胞クローンを得ることができた。このクローンはウイルスゲノムはもっているがウイルス蛋白は発現していなかった。この細胞に種々の分化促進因子を作用させ、ウイルスの発現を試みる。 5.ヒトパルボウイルス感染症の血清学的診断法の検討 精製ウイルスを用いたウエスタンブロット法を行って、初感染の指標であるIgM抗体を高感度に検出することができた。
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