1988 Fiscal Year Annual Research Report
BSFー2/ILー6産生異常症の解析ー特にポリクローナル高γグロブリン血症をきたす疾患の病態解析
Project/Area Number |
63570220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉崎 和幸 大阪大学, 医学部, 助手 (90144485)
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Keywords | Interleukin6 / B細胞分化因子 / サイトカイン産生異常症 / Castleman's disease / 高γグロブリン血症 / 病態解析 |
Research Abstract |
B細胞分化因子(BCDF、BSFー2)として遺伝子及び分子構造が決定されたInterloukin6(ILー6)、B細胞の分化、ミエローマ細胞の増殖を促し、抗体産生を増強するのみならず、幼若骨髄細胞の分裂を誘導、肝細胞に作用して急性期蛋白を誘導させるなど多くの生理作用を有する。ところでCastleman病は1956年、長年に亘るリンパ節腫大や発熱を主症状とし、腫大リンパ節は形質細胞の増殖、リンパ漏胞の過形成を示す原因不明の疾患である。更に貧血、高γグロブリン血症、急性期蛋白の上昇等を伴い病態すら不明である。特記すべきことは、孤立性にリンパ節腫大を示す患者の場合、その腫大リンパ節を摘出すると、症状が消失するのみならず、検査所見も正常化し完治することである。このことは本疾患の病因並びに病態の根源が腫大リンパ節に限局することを示唆し、またその多彩な臨床像からILー6が病態に関与していることを疑わせるものである。このため、孤立性及び多発性に腫大リンパ節を示す症例について、腫大リンパ節からのILー6産生、摘出前後の血中ILー6濃度を測定した。その結果、腫大リンパ節から大量のILー6の産生がみられた。他のサイトカイン(ILー1、ILー2、IFNγ、TNF等)の産生は有意でなかった。抗ILー6抗体を用いた免疫組織化学にて過形成を示す胚中心の活性化されたB細胞からILー6が産生されることがわかった(T.Mφ、Dendrict cell、静止B cellではなかった)。次に腫大リンパ節摘出により、孤立性腫大の患者は症状の改善がみられると同時に血中ILー6は高値から正常域となったが、多発性腫大の患者では症状検査所見の変化なく血中ILー6の低下も認められなかった。以上の結果は腫大リンパ節からのILー6過剰産生がCastleman病の病態に強く関与していることを示唆し、本研究によりはじめて病態解明に近づくことが出来たと思われる。本研究はまた、サイトカインと疾患との関連を示唆するはじめての研究とも云うことができる。
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[Publications] Nishimoto,N.;K.Yoshizaki;L.T.Tsang;T.Kunitani;C.Kiyataki;Y.Takahara;T.Hirano;T.Kishimoto: J.cell Biochem.suppl.12B. 116 (1988)
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[Publications] Yoshizaki,K.;N.Nishimoto;T.Kunitani;T.Lee;H.Tagoh;T.Komori;S.Kishmoto;K.Aozawa;T.Nakahata;A.Muraguchi;T.Hirano;T.Kishimoto.: J.cell.Biochemi.suppl.12B. 124 (1988)
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[Publications] Horii,Y.;A.Muraguchi;S.Suematsu;T.Matsuda;K.Yoshizaki;T.Hirano;T.Kishimoto: J.Immunol.141. 1529-1535 (1988)
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[Publications] Nishimoto,N.;K.Yoshizaki;H.Tajoh;M.Monden;S.Kishimoto;T.Hirano;T.Kishimoto: Clin Immunol.Immunopath.(1989)