1989 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞の膜結合免疫グロブリン分子と補体の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
63570221
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
内海 爽 愛媛大学, 医学部, 教授 (30028493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫃本 泰雄 愛媛大学, 医学部, 助手 (90136333)
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Keywords | B細胞 / 補体 / C3 / 膜IgM / 膜IgD |
Research Abstract |
昨年度の研究実績では、マウス脾細胞をin viterに取り出して血清と反応させると、細胞上での自発的補体活性化がみられた。これを種々の細胞について観察したところ、多くのマウス培養細胞(特にB細胞系統及びマクロファ-ジ系統の細胞)で同様の現象がみられた。なお胸腺細胞では弱く、マウス赤血球ではほとんどみられなかった。 代用抗原としての抗免疫グロブリンにより架橋されたB細胞上のmIgが、補体活性化をおこしうるか否かを検討するという本研究課題の所期の目的達成のためには、この自発的補体活性化を最小限におさえることが必要であるが、種々の条件を検討したところ、(1)マウス末梢血リンパ球を赤血球とともに培養する、(2)Percoll gradientにより高比重細胞(静止期リンパ球)を集めて用いる、ことでほぼ自発的補体活性化を阻止できることが分かった。こうして得た細胞に種々の抗免疫グロブリン抗体及びマウス新鮮血清を反応させて補体活性化を調べてみると、(1)拡μ抗体F(ab´)_2、抗K抗体F(ab´)_2を反応させることにより約10%の細胞に特異的なC3沈着がみられること、(2)拡δ抗体F(ab´)_2では全くC3沈着がみられないことが明らかになった。この抗μ抗体F(ab´)_2によると補体活性化は、(3)試薬中に混在するかも知れないintact IgGの影響によるものではないこと、(4)MgーEGTAにより60%以上の阻害がみられたことから、架橋に用いた抗IgM抗体そのものによる補体活性化ではない、補体古典経路あるいは類似の機構が関与していることが示唆された。 この補体活性化が、架橋された膜IgM分子そのものによるのか、B細胞に生じた二次的作用によるのか、については残された課題であるが、膜IgMと膜IgDに上述の様な機能分離があることは、その生物学的意義を考えると極めて興味深い。
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