1988 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞刺激によるインターロイキン2mRNAの産生誘導と分解調節の機序
Project/Area Number |
63570224
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾上 薫 熊本大学, 医学部, 教授 (60037497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 孝文 熊本大学, 医学部, 助手 (30185384)
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Keywords | インターロイキン2mRNA / プロモータ結合蛋白 / mRNA分解速度 / リンホカイン産生刺激伝達 |
Research Abstract |
T細胞がインターロイキン2(IL2)を産生する機構を解析するにあたり、IL2mRNAの誘導とその分解との両面から実験を行った。1)IL2mRNAの誘導:IL2mRNAを誘導する因子を検出する目的で、IL2染色体遺伝子のプロモータやイントロンを含む数種類の断片を作成してゲルシフト電気泳動法を試みた結果、Tリンパ腫細胞株(MOLT16)の核抽出液中にIL2プロモータに特異的に結合する因子の存在が確認された。現在、B細胞株や扁桃リンパ球を用いて、組織特異的および活性化T細胞特異的因子の特定を試みている。2)IL2mRNAの分解:ヒト扁桃リンパ球を刺激した場合、産生されたIL2mRNAが無刺激の細胞内に比べて安定かどうかを調べた。細胞をCaイオノホアA23187およびプロテインキナーゼC(PKC)活性化剤PDBで12時間刺激し、アクチノマイシンDでRNA合成をとめ、以後、刺激剤存在下、非存在下でIL2mRNAを経時的に測定した結果、誘導されたIL2mRNAの半減期が無刺激時30分から、単独刺激時70分、両者刺激時120分へと延長した。即ち、T細胞の刺激によりIL2mRNA生成が誘導されるだけでなく、IL2mRNAの分解が抑制されており、それには恐らくCaやPKCが関与していること示唆する結果が得られた。そこで、IL2mRNAの分解を抑制する因子を同定する目的で、無細胞での実験系の確立を試みた。まず、SP6プロモータをもつベクターに全長のIL2cDNAを組み込み、^<32>P標識IL2mRNAを合成し、このmRNAのリンパ球抽出液中での分解速度を測定した。その結果、無刺激細胞抽出液中ではIL2mRNA分解の抑制がみられたが、IL2mRNAの3′末端配列(ATTTA配列に富む部分)を欠如するIL2mRNAと全長mRNAとの間に差は認められなかった。ATTTA配列はmRNAの安定性に関与していると指摘されているが、IL2mRNAにおけるその役割さらには結合因子を解明するために、RNAゲルシフト法の試行を考案している。
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