1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570239
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西山 敬太郎 徳島大学, 医学部, 教授 (40035390)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三笠 洋明 徳島大学, 医学部, 助手 (70150373)
藤井 信男 徳島大学, 医学部, 助手 (10035488)
鈴木 泰夫 徳島大学, 医学部, 助教授 (10035438)
|
Keywords | 老人性痴呆 / 微量元素 / 頭髪 / 血清 |
Research Abstract |
老人性痴呆患者における微量元素代謝を研究する一環として、生体試料として採取容易な頭髪及び血清を用い、微量元素を測定し、対照と比較検討した。 研究方法 1)被検者 老人性痴呆症のみを収容している専門病院の入院患者57人(男性、平均年令70才)とその対照者(健康男性、平均年令70才)52人である。2)試料と測定方法 患者頭髪はすき鋏で採取し、対照は理容店で収集した。これらはアセトン洗浄、硝酸一過塩素酸灰化後、ICAP(日本ジャーレルアッシュ社)により、後述の20元素を分析した。血清も同様方法で灰化、分析した。 結果 1)測定した頭髪中20元素のうち患者が対照よりも高値を示したものは一つもみられなかった。 2)患者頭髪中Al、As、Be、Ca、Fe、K、Mg、Mn、Mo、Na、Sn、Sb、Ti(P<0.01)、Cr(P<0.05)は対照より有意に低く、特にMn、Mo、Tiは対照の1/3〜1/4の値であった。他の元素(Ba、Cd、Cu、Ni、P、Zn)は対照と有意点がなかった。 3)患者頭髪中Mnを病型別にみると、血管性及び老人性痴呆において特に低値であった。 4)血清中Ca、Cu、Fe、K、Mg、Na、P、Znを対照(大学職員18〜64才)398人と比較したが、患者に特記するような変化はみられなかった。 5)病院の諸資料(採取栄養、血清生化学検査結果、投薬等)を検討したが、微量元素代謝に特に影響を及ぼす要因が見当たらず、上記の成績は老人性痴呆症の病因に微量元素代謝異常が係わっており、それを観察するのに血清よりも頭髪分析が有用であることを示唆していた。
|