1988 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤中毒の中枢神経障害スクリーニング法の開発ー特に「精神・神経・心理」テスト・バッテリーの作成とその標準化
Project/Area Number |
63570260
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三宅 浩次 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 剛 札幌医科大学, 衛生短期大学部, 教授 (00162446)
岸 玲子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80112449)
池田 聡子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045410)
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Keywords | Organic solvent / Neurobehavioral test / Central nervous system dysfunetion / Screening |
Research Abstract |
有機溶剤の暴露でどのような中枢神経機能の障害が生ずるのか、最も影響を受けるのはどの機能かについて十分明らかにされていない現状から、まず、これまでに諸外国で行われた46編の研究を文献的に整理した。急性暴露の場合は、単純反応時間が認知速度や記憶、計算、手指の巧緻性よりも、より低濃度で短い暴露時間で影響が現われるが、慢性の暴露影響では、数字・記号置換えテスト、目と手の協調性などの精神運動機能や認知速度が最もしばしば障害されており、数唱,Benton Retention testなどの短期記憶や、図形構成機能・抽象概念構成障害も観察されていることがわかった。 次いで中枢神経影響を評価するテスト・バッテリーとして、現場でどのようなテストの組み合わせが妥当か判断するために(1)握力(2)閉眼片脚立ち(3)反応時間(4)タッピング(5)手指作業時間(Peg Board)(6)協調機能テスト(Aimingとtracing)(7)色名呼称テスト(8)記銘力テスト(数唱)(9)コース立方体テスト(10)長谷川式簡易知的スケールを全く化学物質暴露歴のない男性65人(40代5人、50代20人、60代38人、70代2人)に適用した。その結果、多くの項目で年齢による大きな差異が認められ職場で疫学調査を行う上で考慮すべきと思われた。(2)閉眼片脚立ち(40代24.4秒、50代12.5秒)(5)手指作業時間(40代26.6、50代23.2、60代19.8)(6)協調機能テスト(AimingのErrorは40代1.2、50代5.1、60代6.4、Tracing数は40代54.8、50代54.9、60代45.6)(7)色名呼称時間は40代63.6、50代65.4、60代74.6(8)記銘力(数唱合計)は40代11桁、50代9.3桁、60代8.7桁(9)コース立方体(40代63.4、50代48.3、60代40.2)。これに対して(3)反応時間と(10)長谷川式簡易知的スケールについては、反応時間が(40代210.4msec、50代218.8msec、60代217.4msec)長谷川式スケールが(40代31.1、50代30.7、60代29.2)と年代による差は小さかった。より高い年齢で差が大きくなると思われる。
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Research Products
(1 results)