1989 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤中毒の中枢神経障害スクリ-ニング法の開発-特に「精神・神経・心理」テスト・バッテリ-の作成とその標準化-
Project/Area Number |
63570260
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三宅 浩次 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 剛 札幌医科大学, 衛生短期大学部, 教授 (00162446)
岸 玲子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80112449)
池田 聰子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045410)
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Keywords | central nervous system dysfunction / organic solvents / psychobehavioral test / batteries / screening / human experimental study / epidemiological study / organic solvent worker |
Research Abstract |
1.精神神経学的な自覚症状を中心として、有機溶剤暴露者用に標準化した自覚症状調査票を作成し、有機溶剤取扱者と対照群で、性・年齢をマッチさせた81対について、有機溶剤による自覚症状の特異性を検討した。有機溶剤取扱者(主に塗装作業従事者)では、76項目の自覚症状のうち(1)立ち上がるとフラフラ(2)理由なくイライラ(3)憂鬱(4)手足や身体が冷たくなるなど8項目の有訴率が暴露群で高かった。次いで 2.有機溶剤を実際に取り扱っている事業所で有機溶剤中毒スクリ-ニングのためのテストバッテリ-{WHOコアテスト及びハ-バ-ド大学NESテストなどを参考にして(1)視覚-運動速度及び手指の巧緻性:Santa Ana、手-眼の共同運動テスト、数字-符号対応(2)言語性理解:語彙検査(3)記銘力:数列暗唱(4)視覚空間認識及び記銘力:コ-ス立方体組合せ、Bentonの視覚記銘(5)感情プロフィ-ル検査を含めた10の指標}を用いて、(1)テストバッテリ-の妥当性と信頼性(2)有機溶剤暴露により、どの測定項目が最も早期に傷害されるか(3)精神神経学的なテストを現場で応用する上での問題点について検討した。対象者は、25-54才(20代5名、30代5名、40代2名、50代1名)、暴露歴3ヶ月-22年の男性13名で、休み明けの朝、始業前に実施した。性・年齢教育歴、飲酒歴をマッチさせた対照群についてデ-タ-を収集している。推定される障害部位にまとめた自覚症状とテストバッテリ-による検査結果の計22項目間で、有意な相関の見られた主な内容について述べる。(1)言語性のテストと数列記銘は正の相関を示し、知的レベルの測定に妥当な項目であることが示唆される。(2)非利き手単純反応時間が遅いほど、視覚記銘テストの結果が悪く、中枢神経系とくに右脳の機能に対する暴露影響を鋭敏に反映していることが示唆される。(3)手指の巧緻性は室温が低い場合大きく影響を受けることがあるので注意を要する。
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Research Products
(1 results)