1989 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性急性腎不全の細胞障害の機序・治療に関する研究(特に活性酸素の役割について)
Project/Area Number |
63570285
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
富田 公夫 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40114772)
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Keywords | 急性腎不全 / 活性酸素 / ロイコトリエンD_4 / エンドセリン / 抗利尿ホルモン |
Research Abstract |
基礎的研究:(1)前年度にひき続き活性酸素の微量測定を検討した。腎糸球体より直接液を採取することはかなり困難であった。またボ-マン嚢よりの液採取時の細胞障害がどの程度活性酸素量に関与しているかについての検討が困難であり今後の問題として残った。(2)活性酸素が発生すると内皮細胞に障害がおこる。内皮細胞に障害がおこると内皮より強力な血管収縮性物質であるエンドセリンが放出される。エンドセリンの血管収縮作用は強力で、今まで知られていたアンジオテンシンIIの約100倍とも言われている。このエンドセリンが急性腎不全に何らかの役割を持っている可能性が示唆されており腎での役割を知ることが重要である。種々のペプチドとエンドセリンとの関与を腎系球体、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、皮質および髄質集合尿細管において検討した。CAMP産生に与える影響をAVP,glucagon,calcitonim,isoproterenal,parathyroid hormoneなどについて検討したところ、皮質および髄質集合尿細管においてAVP作用にエンドセリンが抑制効果を示した。このことより、エンドセリンは糸球体ろ過率を下げるが集合尿細管において利尿作用を示し水利尿をおこす可能性があることがわかった。 臨床的研究:急性腎不全時のエンドセリンの動態について検討した。急性期には血中エンドセリンが正常域の5〜10倍の高値を示し、腎機能の回復とともに低下傾向を示した。このことは、エンドセリンと急性腎不全の間になんらかの因果関係、少なくとも増悪因子になっている可能性が示唆され、今後の研究を必要とすると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Tomita,K.Ujiie,T.Nakanishi,S.Tomura,O.Matsuda,E.Ando,M.Shichiri,Y.Hirata,F.Muramo: "Plasma endothelin levels in patients with acute renal failure" New England Journal of Medicine. 321. 1127 (1989)
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[Publications] K.Ujiie,K.Tomita,A.Owada,F.Muramo: "Angiotensin-convertiny enzyme activity as a prognostic factor in acute renal failure."