1988 Fiscal Year Annual Research Report
プリン代謝異常症で臨床症状が発現する生化学的機序-特にグアニンヌクレオタイドとの関連
Project/Area Number |
63570286
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西田 〓太郎 東京外国語大学, 保健管理センター, 教授 (20114598)
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Keywords | HGPRT欠損 / APRT欠損 / 2-8-dihydroxyadenine / xanthine尿症 / adenylosuccinase欠損 / 高尿酸血症 / プリン代謝酵素 / adenosine receptor |
Research Abstract |
1.hypoxanthine-guanine phosphosibosyl transferase(HGPRT)欠損症、adenine phosphosibosyl transferase(APRT)欠損症、xanthine尿症では若年に尿路結石、腎障害を合併するため早期の診断を要する。これらの疾患の簡易スクリーニング法を開発した。血液を附着させた乾燥濾紙を用いてHGPRT、APRT活性の測定、またこの濾紙を用いたオートラジオグラフィー法で、これらの酵素欠損症がスクリーニングできる。また尿を附着させた乾燥濾紙を用いて、尿中2.8-dihydroxy adenine(DHA)、xanthine濃度をHPLCで定量可能であることも明らかにした。 2.近年、我国で増加している高尿酸血症はプリン体の過剰摂取によると考えられる。従来、消化液中のプリン代謝酵素活性については全く報告されていなかった。膵液、胆汁等にプリン体を分解する5´-nucleotidase、adenosine deaminase、purine nucleoside phosphorylase、xanthine oxidase活性が存在することを確認した。プリン体であるイノシンをトリに経口投与すると、血清尿酸値は著しく上昇する。しかしあらかじめpurine nucleoside phosphorylase、xanthino oxidase、uricaseをliposomeに封入して経口的に投与しておくことにより、イノシンによる血清尿酸値の上昇は抑制される。従って、プリン体を分解する酵素の経口投与は消化管内でプリン体を分解して、吸収されるのを防ぐ。このためこの酵素は高尿酸血症の予防薬として有用であることを明らかにした。 3.adenylosuccinase欠損症では自閉症と同様の精神症状を示すが、この機序は全く不明である。この疾患ではadenylosuccinateがsuccinyladenosineに代謝され、これが体内に増加する。succinyladenosinoはadenosineと同様に細胞膜のadenosine receptorに作用することを発見した。すなわち、succinyladenosinoが神経細胞のadenosine receptorに作用して自閉症の様な症状を発現させる可能性があり、theophyllineがこの疾患で効果がある可能性がある。
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[Publications] Y.Nishida: General Pharmacology. 19. 277-279 (1988)
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[Publications] Y.Nishida: Advances in Experimental Medicine and Biology.
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[Publications] Y.Nishida: Advances in Experimental Medicine and Biology.