1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570303
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
斉藤 栄造 東邦大学, 医学部, 講師 (10112690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 洋 東邦大学, 医学部, 助手 (80120228)
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Keywords | 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / 病因 / 自己免疫 / 細胞障害性T細胞 / 単球 / 線維芽細胞 / 間質 |
Research Abstract |
昭和63年度の研究により皮膚筋炎末梢血単核細胞分画による線維芽細胞障害機序について、以下の知見を得た。(1)皮膚筋炎患者末梢血単核細胞分画とヒト線維芽細胞を混合培養すると、単核細胞の線維芽細胞周囲への著明な集簇が認められ、同時に、培養後の線維芽細胞の細胞数、^3Hthymidine 取り込みは著明に抑制された。この作用は皮膚筋炎にきわめて特異的で、定型的な皮膚症状を示さない多発性筋炎や、そのほかの自己免疫疾患、非免疫性筋疾患、正常対象者では認められなかった。(2)^<51>Cr放出実験でも皮膚筋炎患者末梢血単核細胞による線維芽細胞に対する著明な細胞障害作用が認められ、本作用もまた皮膚筋炎に特異的であった。(3)線維芽細胞周囲に集簇する細胞の大多数はTリンパ球で、そのうちT8陽性細胞が優位を占めた。さらに、70%以上の細胞がDR、IL-III-受容体陽性細胞で活性化されたT細胞と考えられた。(4)リンパ球垂分画のPartial Killing実験では抗T8血清で前処理した場合に細胞障害作用の著明な減少が認められ、抗T4、抗NK 血清の前処理では細胞障害作用に影響を与えなかった。(5)線維芽細胞に対する細胞障害作用は、単球単独、リンパ球単独では認められず、単球-リンパ球の協同作用が必要であった。以上の成績は皮膚筋炎の組織障害における主要な標的組織は筋ではなく、むしろ間質であること、この組織障害作用において単球、T8陽性Tリンパ球が必須であることを示している。今後、皮膚筋炎末梢血細胞の線維芽細胞障害作用の疾患特異性がいずれのレベルに存在するか、また、これら細胞間の相互作用、細胞障害作用の詳細な機序は何かを解明することが重要である。この中で液性因子の果たす役割を明らかにしなければならない。また、in vitroで観察されるこれらの成績と、in vitroでの病変の関連についても検討する必要がある。さらに、これらの研究を通して皮膚筋炎の治療に役立てることを目指さねばならない。
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[Publications] Eizo Saito: J Rheumatol. 14. 936-941 (1987)
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[Publications] Eizo Saito: J Rheumatol. 16. 47-54 (1989)
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[Publications] Eizo Saito: J Rheumatol. 1989.
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[Publications] 斉藤栄造: Mebio. 4. 82-86 (1987)