1988 Fiscal Year Annual Research Report
ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法を用いたB型肝炎ウイルス核酸の超高感度検出
Project/Area Number |
63570310
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横須賀 収 千葉大学, 医学部, 助手 (90182691)
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Keywords | ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法 / B型肝炎ウイルス / 合成DNA / HBVDNA / 超高感度検出法 / HBe抗体 / 肝疾患 |
Research Abstract |
B型肝炎ウイルスは慢性肝炎をはじめ各種肝疾患の原因ウイルスの一つであり、本邦には約200万人のキャリアがいると推定される。B型肝炎ウイルスDNAの検索はこれまでサザンブロット法、スポットブロット法を用いて行われているがこれらの方法でのウイルス検出感度は1〜0.1pg(ウイルス粒子数としては10^<4〜5>個)が限界でありより高感度な検出法が望まれる。我々は合成DNAを反応開始DNAとして、ポリメラーゼ反応を繰り返し行う事により目的とする核酸を指数関数的に増幅するポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)法を用いてB型肝炎ウイルスDNAを10万倍以上に増幅した上で検出する方法を開発した。昭和63年度はまず本PCR法に用いる為にB型肝炎ウイルスのHB_s抗原遺伝子に対応する合成DNAを作製した。またこれらの合成DNAを反応開始DNAとして、既知量のクローン化HBVDNAに対してポリメラーゼ・チェイン・リアクション法を行い検出感度の検定を行った。その結果ウイルス1個のDNAに相当する10^<-6>pgのレベルでHBVDNAの存在の有無を測定しうる事を明らかにした。更に本法を用いて血清中のHBVDNAを検索し従来のスポットブロット法による成績と比較検討した。従来のスポットブロット法ではHBe抗体陽性検体の10%のみにHBVDNAが検出されたのに比し、本法では同一検体の80%にHBVDNAが検出可能であり、本法がより高感度な検出法である事を確認した。これまでB型肝炎ウイルスが殆ど存在しないと考えられていたHBe抗体陽性血清中に高率にB型肝炎ウイルスが存在している事を明らかにした。
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[Publications] 横須賀収: 肝臓. 30. 178-181 (1989)
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[Publications] 横須賀収: 肝臓. 30. (1989)
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[Publications] Osamu,Yokosuka: Virology. 167. 82-86 (1988)