1989 Fiscal Year Annual Research Report
ポリメラ-ゼ・チェイン・リアクション法を用いたB型肝炎ウィルス核酸の超高感度検出
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63570310
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横須賀 收 千葉大学, 医学部, 助手 (90182691)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / ポリメラ-ゼ・チェイン・リアクション法 / HBs抗原 / HBs抗原サブタイプ / 直接シ-クエンス法 / 慢性肝炎 / HBV DNA / pre-C領域 |
Research Abstract |
昨年度の報告で、我々はポリメラ-ゼ・チェイン・リアクション法を応用する事によりB型肝炎ウィルスDNA(HBVDNA)を極めて高感度(ウィルス1個のレベル)に検出しうる方法を確立した事及びこの方法を用いて臨床検体を検索しこれまで殆んどウィルスが存在しないと考えられていたHBe抗体陽性患者血中に、高率に微量のウィルスDNAが存在する事を示した。本年度は更に検体数を増やし昨年度の成績を確認すると共に、7年間という長期間にわたり経過観察を行なった症例におけるHBVDNAを検索した。その結果長期間肝機能が正常範囲に留まった検体においてはHBVDNAが検出されない事から、これらの患者(但しHBeと抗体陽性者)においては血中からウィルスDNAが消失している可能性が示唆された。またこれらのポリメラ-ゼ・チェイン・リアクション法の反応産物から直接的に塩基配列の決定がしうる事を示した。この方法を用いてHBs抗原領域の遺伝子配列を決定し、HBs抗原の第122番及び160番のコドンがHBs抗原のサブタイプd/y型及びr/w型を決定しているという成績を得た。更にpre-C領域を検索する事により、HBe抗体陽性例ではpre-C遺伝子の第28番のコドンがstop codonに変異している事、この変異がHBe抗原の発現を抑制している可能性を示唆した。現在この変異の有無がB型肝炎の病態とどのように関連しているか、またどうしてこのような変異が生じてくるかについて検討中である。
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[Publications] Yokosuka Osamu: "Detection and direct sequencing of hepatitis B virus genone by deoxyribonucleic acid anplification method" Gastroenterology.
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[Publications] Yokosuka Osamu: "Expression of pre-S1,preS-2,and C proteins in duck hepatitis B virus infection" Virology. 167. 82-86 (1988)
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[Publications] 横須賀收: "Polymerase chain Reaction法を用いたHBVDNAの超高感度検出法" 肝臓. 30. 178-181 (1989)
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[Publications] 横須賀收: "Polymerase chain reaction法及び直接シ-クエンス法を用いたHBVDNAの塩基配列決定" 肝臓. 30. 596-597 (1989)