1988 Fiscal Year Annual Research Report
肥満における脂肪肝の成因ーapolipoprotein B mRNA定量による検討
Project/Area Number |
63570322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河田 純男 大阪大学, 医学部, 助手 (90183285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 幸彦 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
乾 由明 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
藤岡 滋典 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
松沢 佑次 大阪大学, 医学部, 講師 (70116101)
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Keywords | 肥満症 / 脂肪肝 / Triglyceride / apolipoprotein B mRNA / acetyl-CoA carboxylase / VLDL / 脂肪蓄積機序 / 脂肪酸合成 |
Research Abstract |
私共は肥満における脂肪肝の成因を明らかにするため、まず、肥満モデル動物である視床下部腹内側核破壊(VMH)ラットを作成し、その肝臓における脂質分析を行なった。形態学的には、光顕像で著明な脂肪沈着を認め、電顕像では、肝細胞内に多数の脂肪滴とゴルジ装置でのVLDL粒子の大量の蓄積を認めた。一方、生化学的には肝組織内でのtriglyceride(TG)の著増を認めた。血中のTG値の上昇、VLDLの増加を考えあわせると、肝内のVLDLの蓄積はVLDLの分泌障害というよりは、VLDLの合成亢進によると考えられた。VMHラットにおける肝VLDL合成亢進を明らかにするため、肝内のapo B mRNAの定量と脂肪酸合成の律速段階であるacetyl-coA carboxylase(ACC)活性を測定した。その結果、VMHラットの肝においてapo B mRNA量はコントロールラットの1.5倍に増加しており、apo B合成の亢進が示唆された。同様に、ACC活性もVMHラット肝において1.8倍に増加しており、脂肪酸合成の亢進が示唆された。これらの実験事実から、VMHラット肝において、VLDL合成亢進が存在することが示唆された。肥満症においては高VLDL血症が存在するが、この高VLDL血症は、肝でのVLDL合成亢進にもとづくものと考えられた。さらに、食餌組成の変化によるVLDL合成の変動を明らかにするため、高sucrose食を与えて、肝内apoB mRNA量とACC活性を測定した。apoBmRNA量とACC活性は共に増加したが、ACC活性の増加がより顕著であることが観察され、carbohydrateの摂食増加により、apoB合成とTG合成の間に、アンバランスが生じることが示唆された。このことから、VMHラットでは、過食により、TG合成がapoB合成をより上回るため、VLDLとして分泌されるより以上のTGが合成され、そのため、肝に脂肪の蓄積が出現すると考えられる。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 乾由明、河田純男 他: 日本臨床代謝学会記録. XXV. 48-49 (1988)
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[Publications] 乾由明、河田純男 他: 日本肥満学会記録. 18. 278-280 (1988)
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[Publications] 乾由明、河田純男: 腹腔鏡. 18. 71-74 (1988)
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[Publications] Yoshiaki Inui,et al.: Gastroenterology International. 1. 492 (1988)
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[Publications] Yoshiaki Inui,et al.: Endoscopy. 20. 29 (1988)
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[Publications] Takashi Kobatake,et al.: Int J Obes. 13. (1989)
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[Publications] 松沢佑次: 日本医師会雑誌. 100. 918-923 (1988)
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[Publications] 藤岡滋典: 日本肥満学会記録. 8. 325-326 (1988)
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[Publications] 徳永勝人、松沢佑次 他: "糖尿病動物2(視床下部性肥満モデル(PVNラットとVMHラット)における糖代謝)" 医薬ジャーナル社, 6 (1988)