1989 Fiscal Year Annual Research Report
日本猿を用いたアルコ-ル性慢性膵炎の成因に関する実験的研究
Project/Area Number |
63570328
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
山本 泰朗 高知医科大学, 医学部, 助教授 (40127949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 芳也 高知医科大学, 医学部, 助手 (90215666)
岡崎 和一 高知医科大学, 医学部, 講師 (70145126)
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Keywords | アルコ-ル性慢性膵炎 / 膵管内圧 / 乳頭部運動 |
Research Abstract |
我々は従来、慢性膵炎の膵液排出異常の病態に関して、アルコ-ル性慢性膵炎および特発性慢性膵炎では膵管内圧の上昇、アルコ-ル性では膵管内圧と乳頭部圧運動異常の有意な相関があることを明らかにした。昨年度の実験に引続き、本年度は日本猿に急性および慢性(6ケ月)アルコ-ル投与し、膵管内圧と乳頭部圧運動の変化を追跡した。 1)胃内急性アルコ-ル投与実験における主膵管圧および乳頭部運動の測定:日本猿の前庭部に胃瘻を作製し、術後7-10日後より、内視鏡(OlympusJF-1T)を胃瘻より挿入、4 Fr.Microtransducer(Gaeltec社)を膵管内へ挿入し、膵管内圧、次いで引き抜き乳頭部圧運動を測定した。急性アルコ-ル投与(胃癌より30% Ethanol 10mlをゆっくり注入)により、収縮期及び弛緩期圧の低下傾向、頻度の増加傾向を認めた。膵管内圧は増加傾向にあったが、有意差を認めなかった。 2)日本猿におけるアルコ-ル性膵炎あるいは膵液過分泌状態の作成:柄沢らの液体飼料は、日本猿に下痢を惹起して飼育できないため、サル用固形飼料とサツマイモにて飼育した。アルコ-ルは1.0% Ethanol平均 800ml(100ml/Kg)/日を飲用させた。6ケ月間飼育し、上記の如く測定した。乳頭部運動においては収縮期、弛緩期圧とも低下しており、収縮頻度の増加が認められた。膵菅圧は、正常猿平均8.4mmHgに比して、平均24.2mmHgと有意に高値を示した。 3)慢性アルコ-ル投与膵の組織学的検討では、光顕レベルで慢性膵炎は認められなかったが、電顕レベルでは腺房細胞に粗面小胞体のCisternaの開大、間質の線維芽細胞活性化とCollagen増生が認められた。 従って、日本猿においては、アルコ-ル急性および慢性投与により乳頭機能異常(圧運動低下)、膵管圧高値の状態が形成され、膵液過分泌と膵液排出障害による慢性膵炎発症への可能性を示す成績と考えられた。
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Research Products
(1 results)