1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝サイトゾールY′胆汁酸結合蛋白の酵素学的検討
Project/Area Number |
63570330
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
滝川 一 帝京大学, 医学部, 講師 (70197226)
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Keywords | ヒト肝サイトゾール / 胆汁酸結合蛋白 / 3α-hydroxysteroid dehydrogenase(3α-HSD) / 3βーhydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD) / dihydrodiol dehydrogenase(DDH) / 平衡透析 / Western blot |
Research Abstract |
剖検肝のサイトゾール画分から、ゲル3過によりY′分画(MW3〜4万)を得、これをクロマトフォーカシングで分画した。クロマトグラム上、^<14>Cーリトコール酸を用いた平衡透析法による胆汁酸結合のピークはPI7.2にみられ、3β-hydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD)およびdihydrodiol dehydrogenase(DDH)活性とともに溶出された。このピークとは別に。PI5.2で3αーhydroxysteroid dehydrogenase(3α-HSD)活性のピークが溶出された。また、^<14>Cー3ケト-コール酸よりの生成物をTLCで検討したところ、前者のピークではイソコール酸、後者のピークではコール酸であり、各々のHSD活性に対応した反応がおこっていることを確認した。家兎で作製した抗ヒトY′胆汁酸結合蛋白抗体を用いたWestern blot法では、クロマトフォーカシング上の胆汁酸結合ピークのみで36kDのバンドが検出された。SDS-PAGE上、胆汁酸結合ピークは36kDのバンドの他にもう1本の低分子量のバンドがかすかに認められたが、FPLCによるゲル3過により36kDの単一バンドになるとともに、酵素活性はDDH活性のみが保持され、3β-HSD活性は消失した。このDDH活性は胆汁酸により非競合阻害をうけることから、同蛋白上のDDH基質を胆汁酸の結合部位は異なるものと予想された。3α-HSDの見かけ上のKmは、リトコール酸、コール酸でそれぞれ、2.6μM、37μMであったが、3β-HSDのKmはイソコール酸で570μMと高値であった。ラット肝の主たる胆汁酸結合蛋白であるY′binder(MW3.3万)は3α-HSDと同一であったのに対し、さらに強い胆汁酸結合能をもつヒト肝のY′binderは3α-HSDとは異なりDDH活性のみを有し、胆汁酸関連のHSD活性を持たないことが判明した。また、ヒト肝のY′binderはDDHの基質とならない胆汁酸と強く結合し、ヒト肝内での胆汁酸輸送に重要な役割を持つものと考えられた。
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[Publications] Hajime Takikawa.: Biochim.Biophys.Acta. 954. 37-43 (1988)
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[Publications] Hajime Takikawa.: J.Lipid Res.29. 279-286 (1988)
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[Publications] Hajime Takikawa.: J.Biol.Chem.
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[Publications] 滝川一: "日本薬物動態学会主催ミニシンポジウム「肝臓における薬物及び内因性物質の動態と代謝:薬学と医学の複合領域を巡って」講演要旨集ー胆汁酸の肝内移行動態、肝細胞内結合蛋白の役割。" ミニシンポジウム世話人会(東京大学薬学部製剤学教室内), 59-68 (1988)
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[Publications] 滝川一: "第5回肝代謝研究会報告集 ヒト肝GSHS-transferase(GST)isozymeのANS結合酵素活性に関する検討。" 肝代謝研究会運営委員会(アサヒメディカル), (1981)