1988 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆汁うっ滞発症機序並びに治療に関する類洞側細胞管側肝細胞膜の病態生理の研究
Project/Area Number |
63570335
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 俊夫 , 医学部第2内科学, 教授 (50088522)
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Keywords | 肝細胞膜 / 類洞側肝細胞膜ベジクル / 細胆管側細胞膜ベジクル / ESR / 膜流動性 / 色素膜輸送 / Bilirubin diglucuronide / 膜リン脂質組成 |
Research Abstract |
胆汁うっ滞の機作を研究する目的でラット肝細胞膜ベジクルを類洞側(SMV)及び細胆管側(CMV)から別々に作成し、各々の1)膜流動性2)リン脂質組成ならびに3)CMVの色素摂取等を検討し、基礎的検索を行い、胆汁うっ滞時との比較を試みた。SMV、CMVの純度の検討はNa^+-K^+ATPaseその他の酵素測定により行った。1)膜流動性:核磁気共鳴装置(FSR)を用い、スピンラベル法でオーダーパラメーターSを観察した。浅部親水部ではSMV0.35、CMV0.40で共にSMVがCMVより流動性は高く、深部親水部でより著明であった。2)膜リン脂質測定:膜リン脂質組成の分析を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行い、従来の薄層クロマトグラフィーによる方法と比較検討した。CMVはSMVに比べリン脂質の含有量が多く、1.4:1の比率を示した。リン脂質の組成をみるとCMVではSMVに比べスフィンゴミエリンの%が最も異っておりCMV24%SMV9%で、一方レシチンはCMV37%、SMV56%であった。その他の組成は略一致していた。この事はリン脂質中の脂肪酸の不飽和度に差異のある事を示し両膜流動性の差異の一因と考えられた。3)CMVの色素輸送:CMVの色素輸送の基礎的検討のため特に抱合ビリルビンであるBDGを実験室内で標識精製し実験を行った。BDGとCMVを孵置し、CMVへのBDGの輸送を観察する条件を検討した。標識BDGをCMVと孵置し、1分間の37℃と0℃の温度差でCMVのBDG摂取を観察し得る事が判明した。種々の条件下で実験を行いNa非依存性Cl依存性を認め、preloading効果があり、BSPにより阻害され、タウロコール酸で阻害されない事を認めた。これらによりタウロコール酸のそれと異りBSPと共通するCMVキャリヤTの存在が示唆された。以上の1〜3)の基礎的所見を胆汁うっ滞動物の所見と目下比較検討中である。
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[Publications] Y.Adachi,;H.Inufusa,;M.Yamashita,;A.Kambe,;K.Yamazaki,;Y.Sawada,;T.Yamamoto,: Clinical Chemistry. 34巻. 385-388 (1988)
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[Publications] Y.Adachi,;A.Kambe,;M.Yamashita,;H.Inufusa,;S.Nagase,;T.Yamamoto,: J.Hepatol. 7巻. 224-228 (1988)
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[Publications] M.Yamashita,;Y.Adachi,;A.Kambe,;T.Nanno,;S.Nagase,;T.Yamamoto,: J.Lab.Clin.Med. 122巻. 443-449 (1988)
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[Publications] 胡桃良章、足立幸彦、伊藤正、小林宏明、山下正己、上硲俊法、神戸章、山本俊夫: 日本消化器病学会誌. Vol86. 522 (1989)