1988 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息の難治化にIII型アレルギー反応は関与するか
Project/Area Number |
63570344
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
中川 武正 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10107625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 寛 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究生 (10010258)
高野 恵雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手
柳川 明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60166535)
星 恵子 聖のマリアンナ医科学, 医学部, 講師 (90097361)
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Keywords | IgE抗体 / IgGサブクラス抗体 / カンジダ / 食物アレルギー / ダニ抗原 / 難治性気管支喘息 |
Research Abstract |
成人気管支喘息の有症率は近年増加している。最近の薬物療法の進歩により、喘息治療は従来に比して容易になったことはいえ、ステロイド依存性のいわゆる難治性喘息症例の治療や管理には苦労することが多い。本研究の目的は、そのような難治性喘息症例において主要アレルゲンに対するIgE・Ig-Gサブクラス抗体、免疫複合体などを中心とする免疫学的検索を行い、その結果を非難治性喘息症例のそれらと対比させることにより、気管支喘息の難治化にIII型、すなわち免疫複合体によるアレルギー反応が関与するかどうかを検討することであった。本年度において当初の目的をある程度達成することができたので、以下その概要を報告する。1.難治療性喘息症例における免疫学的検討:112例の喘息症例においてダニとカンジダに対するIgE・IgGサブクラス抗体価の測定を行った。その結果、アトピー型難治喘息症例では対照に比してカンジダに対するIgE抗体価が高く、ダニに対するIgG1及びIgG4抗体価が低い傾向が認められた。また、感染型喘息症例ではIgE抗体は証明されず、難治性喘息症例と対照との間にはカンジダに対するIgG1IgG4抗体価及び免疫複合体値に差は無かった。これらの結集は、難治療性喘息とはいえども症例によっては減感作療法を施行する必要があることを示唆した。2.卵に起因する喘息症例での解析:卵摂取試験後の卵白アルブミン特異的IgGサブクラス抗体及び免疫複合体の変動を解析した結果、症例によっては免疫複合体によって喘息症状が惹起される可能性が示唆された。これらの結果及び我々が以前報告したダニ吸入誘発後に遅発型反応を呈する例では、IgG1抗体価が高いという結果を考えあわせると、気管支喘息の難治化にIII型アレルギー反応が関与する症例が存在することはぼ間違いないものと考えられた。しかしその全容を明らかにするには、更なる免疫学的検討が必要と考えられた。
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[Publications] Nakagawa,T.: NER Allergy Proc.9. 67-72 (1988)
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[Publications] Ito.K.: Ann.Allergy. (1989)
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[Publications] Nakagawa,T.: Clin,Rev.Allergy. (1989)
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[Publications] 小林信之: アレルギー. 37. 1022-1026 (1988)
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[Publications] 佐藤ひとみ: 日本眼科学会雑誌. 92. 1605-1609 (1988)
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[Publications] 中田重俊: アレルギー. 38. 9-15 (1989)
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[Publications] Nakagawa,T.: "From Allergy to immunology" Hans Huber, 130-133 (1988)
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[Publications] 中川武正: "第6回免疫薬物療法研究会記録集" メディカル・トリビコーン社, (1989)