1988 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肺癌局所浸潤リンパ球による養子移入免疫法の基礎的検討
Project/Area Number |
63570346
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永井 明彦 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (00164377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 高明 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | IVS / TIL / LAK / adoptive immunotherapy |
Research Abstract |
本研究の目的は原発性肺癌患者の肺内腫瘍周囲より浸潤単核球を分離し、ヒトリコンビナントインターロイキン2(rIL2)を用いたIVS(in vitro sensiti zation)システムを応用し、腫瘍細胞に特異的なTIL(tumor infiltrating lymphocyte)を誘導し、その細胞学的特徴を検討し、養子免疫療法adoptive immunotherapyの基礎とすることにあるが、当該年度においては臨床応用の前段階として、C57BL/6(B6)マウスの低免疫源性腫瘍モデルであるMCA105においてIVSシステムで誘導される抗腫瘍T細胞(免疫IVS細胞)の最適培養条件およびエフェクター細胞としての免疫学的特徴を検討した。その結果以下のことが明らかになった。(1)抗腫瘍T細胞は広範囲のrIL2濃度に反応して誘導可能であった。高濃度rIL2使用の場合には誘導された細胞はLAK(lymphokine activated killer)活性を示した。(2)低濃度のrIL2を使用したIVS培養の方が高濃度rIL2使用のIVS培養に比し、より治療効果の高い細胞の誘導が可能であった。(3)in vitroでは免疫IVS細胞はautologousなターゲットに対し、より高い細胞障害活性を示したが、in vivoでの抗腫瘍効果との相関はなかった。(4)担癌マウス由来のIVS細胞は、免疫マウス脾臓細胞をほIVS培養のresponderに使用し誘導されたIVS細胞のin vivoでの治療効果がMCA105に特異的であるのに対しのinvivoでMCA106と交差反応を示した。即ち腫瘍増殖に伴って惹起される特異的免疫反応と免疫賦活剤を併用した能動免疫によって惹起される反応とは異る可能性を示した。以上の基礎的実験研究の他に癌性胸膜炎・腹膜炎に対し、IVS細胞をrIL2と共に胸腹腔内局所や全身的に投与する臨床プロトコールを作成し、これ迄に4例に施行、内2例に効果を認めた。効果のあった1例では放射照射した腫瘍細胞で免疫してTILを得ており、今後のadoptive immurotherapyに応用していく予定である。
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