1989 Fiscal Year Annual Research Report
各種呼吸器疾患患者リンパ球からの好酸球コロニ-刺激因子と好酸球遊走因子の産生調節
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63570351
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 敏夫 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (70108893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 英治 徳島大学, 医学部附属病院, 講師
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Keywords | 好酸球 / 好酸球コロニ-刺激因子 / リンパ球 / 気管支喘息 / PIE症候群 |
Research Abstract |
気管支喘息、PIE症候群あるいはアレルギ-性鼻炎などの呼吸器疾患患者の末梢血や病変局所では、好酸球増多がみられることがあり、病態と密接に関わると考えられる。当該年度の研究では、この好酸球増多機序を明らかにし、かつ、その調節因子を検討しようという目的で、好酸球増多のみられた胸水中の好酸球コロニ-刺激因子(E-CSF)活性測定やその性質の検討、好酸球増多症患者の末梢血単核球からのE-CSF産生能を種々の角度から検討した。胸水中のE-CSFは、胸水中の好酸球数と相関して変動しており、E-CSFは好酸球増多に重要な役割を有していると考えられた。生化学的検討結果から、このE-CSFは、比較的熱安定であり、高速液体クロマトグラフィ-による分析では、分子量約50,000の物質で、その活性の一部は抗IL-5抗体処理により抑制された。従がって、このE-CSFは、IL-5を含む可能性も示唆される。一方、好酸球増多症の患者から分離した末梢血単核球は、健常者のそれよりも、E-CSF産生能が亢進しており、また、Il-2、PHAあるいは抗原であるハウスダストと共に培養すると、E-CSF産生の有意な増加が認められた。しかし、この増加は、ステロイドや免疫抑制物質FK-506により抑制された。単核球を単球と羊赤血球ロゼット形成T-リンパ球に分離して検討すると、E-CSF産生は、主として、T-リンパ球によることが知られた。しかし、両細胞の混合培養により、更にE-CSF産生は増加したことから、単球はT-リンパ球のE-CSF産生促進作用を示すと考えられた。これらのことから、好酸球増多に重要と考えられるE-CSFは、主としてT-リンパ球から種々の刺激によって産生されること、しかも、薬物によりこの産生は調節可能なことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森口博基,尾崎敏夫,安岡功,小倉剛: "特発性間質性肺炎患者肺胞マクロファ-ジのフィブロネクチンとPGE_2産生" 日本胸部疾患学会雑誌. 27. 1322-1329 (1989)
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[Publications] 佐野隆宏,安岡功,大串文隆,中西嘉巳,谷憲治,野田泰弘,尾崎敏夫,小倉剛,佐野暢哉,近藤有好: "分析電子電顕により原因物質を検索しえた塵肺症の一例" 四国医学雑誌. 45. 599-603 (1989)
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[Publications] T.Ozaki,M.Maeda,M.Moriguchi,Y,Nakamura,H.Hayashi,T.Kamei,S.Yasuoka,T.Ogura: "Role of alveolar macrophages in the neutrophil-dependent defense system against Pseudomonas aeruginosa infection in the lower respiratory tract.Amplifying effect of muramyl dipeptide analog." Am Rev Respir Dis. 140. 1595-1601 (1989)
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[Publications] T.Ozaki,H.Moriguchi,Y,Nakamura,T.Kamei,S.Yasuoka,T.Ogura: "Reguratory effect of prostaglandin E_2 on fibronectin release from human alveolar macrophages." Am Rev Respir Dis. (1990)
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[Publications] T.Ozaki,T.Haku,T.Kawano,S.Yasuoka,T.Ogura: "Neutrophil recruitment in the respratory tract of patient with plasma cell granuloma of the lung." Chest. (1990)
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[Publications] Y,Nakamura,T.Ozaki,T.Kamei,K.Fujisawa,S.Shimizu,H.Yanagawa,S.Yasuoka,T.Ogura: "Eosinophil colony stimulating factor induced by administration of interleukin-2 into the pleural cavity of patients with malignant pleurisy." Am J Respir Cell Molecul Biology. (1990)