1989 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジア感染症に関する研究、特にTWAR株の検討と臨床疫学調査
Project/Area Number |
63570356
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
副島 林造 川崎医科大学, 呼吸器内科, 教授 (10068976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 邦規 川崎医科大学, 呼吸器内科, 臨床助手 (10188518)
日野 二郎 川崎医科大学, 呼吸器内科, 講師 (80199009)
中浜 力 川崎医科大学, 検査診断学, 講師 (50180336)
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Keywords | Chlamydia pneumoniae / TWAR感染症 / 血清疫学調査 / MFA法 / 呼吸器感染症 / TWAR抗体 / 分離 / 培養細胞 |
Research Abstract |
1)TWAR感染症の血清疫学的検討:前年度に引き続いてTWAR感染症のMFA法を用いた血清疫学調査を行い、これまでに約1500例の健常人ならびに急性呼吸器感染症状患者について検討を行った。15歳までの小児では27%〜36%のTWAR抗体保有率であり、呼吸器感染症との関連に有意差は認めなかったが、成人ではTWAR抗体保有率は健常人と患者群でそれぞれ319/531(60.1%)、231/325(71.1%)と高く、しかも患者群に有意に高率に認められた。さらに最近の感染を示唆するIgG高値、IgA高値を示すものが患者群に有意に高率に認められ、C.pneumoniae TWAR株が我が国の呼吸器感染症の重要な病原体の一つとして関与しているのは明らかと考えられた。 2)TWAR感染症の臨床的検討:次にこれらの呼吸器感染症患者のうち、ペア-血清での検討の結果から、急性のTWAR感染症と診断し得た15例について臨床的検討を行った。15例中11例が上気道炎、気管支炎で4例が肺炎であった。2例では基礎疾患に慢性閉塞性肺疾患を有し、急性増悪を来していた。トリとの関連はなく、症状として全例にて咳嗽があり、次いで発熱、咽頭痛が多く認められた。白血球数は正常ないしは軽度増加がほとんどで、肺炎例でもCRPの上昇は軽度であり、血液の亢進以外は発症所見に乏しい傾向が認められた。肺炎のし線像は主として間質影で異型肺炎様であった。治療には主としてテトラサイクリン系薬剤が投与されており、経過は良好であった。 3)C.pneumoniae TWAR株の分離:TWAR株の臨床検体からの分離はHeLa229細胞を用いてこれまで約120例について試みたが、現在のところ成功していない。分離率を高めるため、より感受性の高い培養細胞を調査中であり、臨床検体からの分離と併行して検討を進める予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 副島林造: "特殊な細菌感染症の診断法 Chlamydia感染症-Chlamydia psittaci-" 臨床医. 15. 1434-1438 (1989)
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[Publications] 岸本寿男: "注目すべき感染症 クラミジア肺炎" 臨床医. 15. 1974-1976 (1989)
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[Publications] 岸本寿男: "新しいクラミジア感染症 TWAR感染症" 検査と技術. 17. 416-417 (1989)
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[Publications] 副島林造: "最近話題の感染症病原微生物 Chlamydia" 検査と技術. 17. 568-574 (1989)
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[Publications] 副島林造: "クラミジア感染症への対応" MEDICAMENT NEWS. No.1251. 17-20 (1989)
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[Publications] 副島林造: "クラミジア感染症" 現代医療. 21. 595-600 (1989)
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[Publications] 岸本寿男: "Chlamydia pneumoniae TWAR株による感染症に関する研究、(第1報)-マウス感染実験並びにMFA法によるTWAR血清抗体価測定の検討-" 感染症学雑誌. 64. 124-131 (1990)
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[Publications] 岸本寿男: "Chlamydia pneumoniae TWAR株による一肺炎例" 感染症学雑誌. 64. (1990)
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[Publications] 岸本寿男: "Chlamydia pneumoniae TWAR株感染症に関する研究(第2報)-健常者および急性呼吸器感染症患者における血清疫学的検討-" 感染症学雑誌. 64. (1990)
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[Publications] 岸本寿男: "特集・話題の肺炎、クラミジア肺炎" Today's Therapy. 14. (1990)
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[Publications] 岸本寿男: "クラミジアの分離と同定 培養細胞を用いた臨床検体からの分離・同定法を中心に" 検査と技術. 18. (1990)
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[Publications] 岸本寿男: "クラミジアによる呼吸器感染症" 日本医師会編「医学講座対談集-第6集」. 3月. (1990)
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[Publications] 日野二郎: "細胞内増殖菌による最近話題の感染症" 副島林造、松本明編、医薬ジャ-ナル誌, 405 (1989)