1988 Fiscal Year Annual Research Report
再活動化ヘルペスウィルスによる神経疾患の基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
63570359
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関沢 剛 東北大学, 医学部 附属病院, 助手 (50150264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正三 東北大学, 医 学部, 助手 (80108498)
林 晧三郎 郡山免疫研 究所, 部長 (20012726)
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Keywords | 神経組織内代謝産物 / ヘルペスウィルス / 再活動化 / 潜伏感染除去 / RNA se / 特発性動眼神経麻痺 / 原因不明神経疾患 |
Research Abstract |
A基礎的研究:先に報告したbutyrateによるヘルペスウィルス (HSV) の再活動化促進を基盤としたこの代謝過程化合物GABA、Glutam ine、GutamateについてHSV再活動化促進の有無を検討したところ対照 が10神経節中4コ (以下4/10の如く記す。) 40%であったのに対し、GAB A群6/10 (60%) Glutamine群7/10 (70%) Gutamate 7/10 (70%) といずれもこれら3化合物で促進が認められ、神経節内HSV潜 伏感染からの再活動化がこれら神経組織内代謝産物により促進されヒトにおける脳炎 等ヘルペス感染症を発症させることが示唆された。一方、我々は先にRicinによ る潜伏感染除去を報告し、新しい治療方法を確立したが今回より毒性の少ない2化合 物RNAse、DNAseを用いて検討した。その結果RNAse群では対照のPB S群に対し潜伏感染率が低下していることが明らかとなった。しかDNAseではこ のような現象は認められなかった。この事はHSVの神経節内潜伏感染維持がHSV -mRNAのantisense formで組み込まれているという米国グループ の研究成果と一致した結果であり、今後潜伏感染の維持機構の分子レベルでの解明に 貢献を成るものと考えられる。B臨床的研究:我々は先にHSV再活動化による動眼 神経麻痺患者2例を報告した。 (British Medical J.295、8 13、1987) が昭和63年度の当研究機関外患者の中からさらに2例の同様の症 例を経験しHSV感染を原因とする動眼神経麻痺の存在が明らかに存在することが確 認された。またさらに、味覚異常、構音障害、歩行及び記銘力障害を一過性に有し髄 液内Oligoclonal IgGbandを検出した52才男性、再発性の一側 性上下肢及び対側上皮麻痺を呈した22才男性の2例にHSV再活動化を原因とする ことを補足ELIZA法により確認した。尚これらの一連の研究に際し、補助金はウ ィルス検出のための例立顕微鏡並びに組織培養器具や薬品の購入を迅速化し円滑に研 究が進められた。
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[Publications] Sekizawa,T.;Hino,M.;Openshaw,H.: Journal of I njection Diseceses. 157. 1270-1271 (1988)
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[Publications] 武田篤、望月廣、中村正三、今野秀彦、関沢剛: 臨床神経.
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[Publications] 名取徳彦、関沢剛: 臨床神経.
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[Publications] 関沢剛: "眼とヘルペス-ヘルペスの潜伏感染と再活動 化" 真鍋礼三 (医学書院), (1989)