1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570367
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 卓郎 九州大学, 医学部, 講師 (40158902)
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Keywords | GLD / MLD / 白質変性症 / サイコシン / リゾスルファチド / 脱髄 |
Research Abstract |
遺伝性脱髄疾患には種々の疾患があるが、そのうちクラッベ病(GLD)と異染性白質変性症(MLD)がある。GLDでは遺伝的に水解酵素が欠損しているにもかかわらずその天然基質の蓄積が見られないが、基質のうちセレブロシッド(Gal-cer)の分解が二種類の酵素で触媒されていることを見出した。他の基質のうちサイコシン(Psy)は従来測定法が確立しておらずGLDでの蓄積は明らかでなかったが、我々は液体クロマトグラフィーを用いた新しい高感度の測定法を開発し、ヒトGLDのモデルであるTwitcherマウスでPsyが蓄積していることを見出した。又、ヒトGLDにおいてもPsyの蓄積が証明されたが、Gal-cerの蓄積は無いことを証明した。このことは前述のGal-cerが二種類の酵素で分解されるということを支持する。Psyの分解を詳細に検討すると、Gal-cerなど一般の糖脂質と異なり、界面活性剤を必要とせず、又Gal-cerの分解と異なり、活性化蛋白もあまり必要がないことを見出した。又、ラクトシルスフィンゴシンの分解も同様に界面活性剤は不必要で、活性化蛋白はむしろ分解を抑制した。現在、Psy分解酵素であるがラクトシルセラミダーゼIを精製中である。Psyは細胞毒性がありそのためGLDで脱髄をひき起こしていると考えられるが、PsyがTwitcherマウスのミエリン内に蓄積し、プロテオリピドプロティンのアシル化を阻害していることが判明した。 一方MLDにおいては、スルファチドの蓄積があるものの脱髄の機構は不明である。脱髄の原因としてGLDと同様細胞毒性があるリゾスルファチドの関与が考えられている。我々の経験したMLDの剖検例でリゾスルファチドの蓄積を検討したところ大量に蓄積していることが判明した。 現在、正常組織内含有量やさらに感度のよい測定法を開発検討中である。
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[Publications] Peter M.Hoogerbrugge.: Science. 239. 1035-1038 (1988)
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[Publications] Takuro Kobayashi.: Eur. J. Biochem.172. 747-752 (1988)
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[Publications] 小林卓郎: 蛋白質、核酸酵素. 33. 734-737 (1988)
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[Publications] Kunihiko.Mitsuo.: Clinica Chimica Acta. 173. 281-288 (1988)
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[Publications] Kaoru Tanaka.: Brain Research. 454. 340-346 (1988)
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[Publications] 小林卓郎: Medicina. 25. 1972-1974 (1988)
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[Publications] Takuro Kobayashi.: Annals of Neurology. 24. 517-522 (1988)
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[Publications] Kenichi Toda.: Biochem. biophys. Res. Commun.
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[Publications] Takeo Yoshimura.: J. Neurochem.
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[Publications] Kaoru Tanaka.: Brain Research.