1988 Fiscal Year Annual Research Report
パターン反転刺激による網膜・大脳皮質伝導時間の測定と潜在的視覚伝導障害の検出
Project/Area Number |
63570369
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
黒岩 義之 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (40135249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 健一 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30146071)
紺野 敏昭 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00146044)
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Keywords | パターンリバーサル視覚誘発電位 / 加齢 |
Research Abstract |
パターンリバーサル誘発電位は今日、広く臨床応用されているが、その正常波形が格子縞の大きさ、年齢、性、頭囲によりどのような影響を受けるかを調べる目的で以下の研究を行なった。正常成人50例についてパターン反転全視野単眼刺激を3種類の格子縞の大きさ(15分、30分、60分)で施行した。刺激頻度は1Hz、刺激視野は16度とし、記録は正中後頭一正中前頭導出で行なった。測定項目は被検者の頭囲と身長、視覚誘発電位の潜時(P50^^<ーー>、N75^^<ーー>、P100^^<ーーー>、N145^^<ーーー>)、視覚誘発電位の振幅(P50^^<ーー>ーN75^^<ーー>、N75^^<ーー>ーP100^^<ーーー>、P100^^<ーーー>ーN145^^<ーーー>)である。潜時一年齢、潜時ー頭囲、潜時ー身長、振幅ー年齢、振幅ー頭囲、振幅ー身長、頭囲ー年齢、身長ー年齢、頭囲ー身長のそれぞれにつき回帰分析を行い相関の有無を検討した。また年齢、頭囲、身長、潜時、振幅のそれぞれにつき男性、女性群間の平均値大検定を行なった。15分の格子縞による反応は30分、60分の場合と比べ、有意にその平均潜時が長く、かつ平均振幅が大きかった。頭囲ー年齢、身長ー年齢はそれぞれ負の相関を示し、頭囲ー身長は正の相関を示した。潜時は年齢と二次回帰で有意の相関を示し、若年者と老年者では延長する傾向を示した。振幅ー頭囲、振幅ー年齢は負の相関を示した。男性群の平均潜時は女性群の平均潜時より有意に長かった。男性群の平均振幅は女性群の平均振幅より有意に小さかった。潜時が加齢とともに延長する現象は視覚伝導系における神経線維の変化やニューロンの減少、縮瞳による光量の減少などが原因と考えられる。振幅が頭囲の増加とともに小さくなる理由は不明である。パターンリバーサル誘発電位の研究を進める上で、年齢、性、頭囲(身長)を無視できないことが本年度の研究実績により明らかにされた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kuroiwa,Y.;Tohgi,H.;Wada,T.;Abe,Y.;Ohi,K.;Hiroi,S.: Electroencephalogr.Clim.Neurophysiol.70. 116p (1989)
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[Publications] 黒岩義之,東儀英夫,和田知子 他: 臨床脳波. 31. 101-107 (1989)
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[Publications] 阿部佳子,黒岩義之: 臨床脳波. 31. 21-28 (1989)
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[Publications] 黒岩義之: 神経研究の進歩. 32. 67-78 (1988)
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[Publications] 黒岩義之: 岩手医誌. 40. 171-184 (1988)
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[Publications] 黒岩義之: 脳波と筋電図. 17. 72 (1989)
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[Publications] Kuroiwa,Y.Clinical siguificance of visual eooked potentials.: "Progress in Clinical Neurosciences" Continuing Medical Education Programme,Newolofical Society of India,Bihar, (1989)
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[Publications] 黒岩義之,Celesia,G.G.: "視覚誘発電位.その正常波形と臨床応用" 西村書店, (1984)